世界の商品(コモディティ)市況が再び上昇を始めている。WTI原油価格は、2008年7月の1バレル=147ドルから同年12月に32ドルまで暴落した。しかし、09年9月現在では70ドル前後と、底値から2倍以上の回復を見せている。

また、ロンドン金価格は08年3月の1トロイオンス=1023ドルという史上最高値から一度は693ドルまで下落したものの、09年9月には再び1000ドルの大台を超える勢いだ。

原油高による昨年のガソリン価格急騰のように、商品市況の上昇はインフレを招き、家計を圧迫する。今後のインフレヘッジのため、資産の一部は商品市場への投資を検討したいところだが、先物取引は投資額やリスクが大きい。そこで注目したいのが、「商品ETF(上場投資信託)」である。

ETFは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など一定の指標に連動する投資信託。証券取引所に上場されているため、個別株同様、取引時間中に売買できるほか、一般の投資信託より保有時にかかる信託報酬が安めに設定され、1万円程度から売買可能だ。

以前は株価指数に連動するものが主流だったが、07年からの規制緩和以来、貴金属や原油など商品の価格や指数に連動する「商品ETF」が続々と登場。09年9月現在、東京証券取引所(東証)と大阪証券取引所(大証)に計9本が上場している。

07年8月に登場した日本初の商品ETFは、金価格に連動する債券を組み入れた「金価格連動型上場投資信託」。08年には、金現物価格に連動する「SPDRゴールド・シェア」、原油をはじめとした商品指数に連動した「イージーETF S&P GSCI商品指数クラスA米ドル建受益証券」が上場。

09年8月には、原油先物価格に連動する「WTI原油価格連動型上場投信」。さらに、金、銀、白金、パラジウム、これら貴金属バスケットに連動する「ETFS上場投資信託」5本も加わった。東証、大証ともに、今後も個人投資家による市場活性化のため商品ETFの拡充に積極的で、貴金属や農産物関連の新商品登場が期待できる。