開発計画にみる商業化への道筋
13年1月から、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は伊勢湾沖で、世界に先がけて海域における減圧法(メタンハイドレートが埋蔵されている地層内の圧力を下げることによって、地層内においてメタンハイドレートをメタンガスと水に分離し、地表ないし洋上からつなげたパイプを通じてメタンガスを回収する手法)による砂層型メタンハイドレートからのメタンガス生産実験を実施した。そして同年3月には、6日間で累積約12万立方メートルのガス生産量を確認した。
この実験の成功を受けて日本政府は、13年4月に新しい「海洋基本計画」を閣議決定し、そのなかでメタンハイドレートの開発に積極的に取り組む方針を打ち出した。そして経済産業省は、新「海洋基本計画」の内容を具体的に推進するために同年12月、新たな「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」(新「開発計画」)をとりまとめた(筆者は、同計画を策定した総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会の委員長をつとめた)。
新「開発計画」は、メタンハイドレートの開発に関する今後の取り組みについて、次のように述べている。
(1)砂層型メタンハイドレートについて
我が国周辺海域に相当量の賦存が期待されるメタンハイドレートを将来のエネルギー資源として利用可能とするため、海洋産出試験の結果等を踏まえ、平成30年度を目途に、商業化の実現に向けた技術の整備を行う。その際、平成30年代後半に、民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトが開始されるよう、国際情勢をにらみつつ、技術開発を進める。
(2)表層型メタンハイドレートについて
日本海側を中心に存在が確認された表層型のメタンハイドレートの資源量を把握するため、平成25年度以降3年間程度で、必要となる広域的な分布調査等に取り組む。
このように記述したうえで新「開発計画」は、中長期的なメタンハイドレートの開発方針に関して、図2のような工程表を掲げている。
新「開発計画」の最大の特徴は、海洋産出試験で成果をあげた砂層型メタンハイドレートの利用に関して、平成30年代後半(23~27年)に民間ベースでの商業化をめざすという目標時期を明示した点に求めることができる。