ボンバルディア買収にも動け

世界で戦うためには重点分野の選択と集中をさらに進めて、利益率を高めなければならない。それならばいっそのこと、重電メーカー同士、日立と三菱重工で経営統合してはどうか。究極の選択と集中ではないかと思う。

今やアメリカだって重電メーカーはGEぐらいしかないし、ヨーロッパだってドイツのシーメンスとフランスの2社、アレバとアルストムがあるぐらいだ。日本でも重電メーカーの絞り込みがあっていい。

日立と三菱重工は火力発電設備を中心とした電力システム事業を統合。今年2月に新会社を設立し、出資比率は三菱65%、日立35%だ。

これまでにも両社は製鉄機械や水力発電で事業統合してきたし、今後は原子力発電や都市高速交通システムなどの事業統合も視野に入れているという。いってみれば結婚を前提に付き合っているようなもので、全体で経営統合しても不思議ではない。

日立と三菱重工が一緒になれば電力部門は大いに強化される。火力発電設備の世界シェアで重工はトップ5に入るし、地熱タービンは世界一。再生可能エネルギーでは風力発電も三菱重工は世界的なメーカーだ。

原発に関しては、日立はBWR(沸騰水型)、三菱重工はPWR(加圧水型)だから合併すれば一揃いになる。日立は原発でGEと提携関係にあるが、日立と三菱重工が一緒になれば、GEの世界戦略にとっても魅力的なパートナーに映るだろう。売上高は12.9兆円でシーメンスを抜き、時価総額の単純合計は5.6兆円になりアルストム(時価総額1.2兆円)の買収にも名乗り出られる規模となる。

さらに日立と三菱重工が完全合併を果たした暁には、カナダのボンバルディアの買収に動けというのが私のアイデアだ。ボンバルディアはアルストムに匹敵する鉄道車両メーカーで、航空機部門も世界第3位。ビジネス航空機とリージョナルジェットが強い。三菱重工といえば、MRJ(三菱リージョナルジェット)の開発でトラブルが続いているが、ボンバルディアと組めばもう一度夢が見られるだろう。