いま私が思い描いている夢は「日本の登山人口を70%に引き上げる」というものです。10年ごろからのブームで登山人口は5%から10%へ急増しました。それでもまだ低い。日夜、引き上げる方法を探しています。

会社では登山用具のレンタルのほか、情報誌の発行や初心者向けツアーの催行に取り組んでいます。私の目的は「登山人口の増加」と「安全登山の推進」。だから別の手段で目的が達成できるのなら、会社が潰れてしまってもいいとさえ考えています。現状に固執していれば、成長は望めません。

そんな意識は、マッキンゼー時代に徹底されたものです。成長とは、いまの自分の否定から始まります。「現状から何ができるか」を考えるのではなく、「いま何をしなければならないか」を考えるのです。

限りある人生のなかで、成果を残すために大切なのは、手段と目的を取り違えないこと。私にとって登山家からマッキンゼーへの転身も、そして起業も、夢を実現するために逆算して選び取った手段だったわけですから。

フィールド&マウンテン社長 山田 淳
1979年生まれ。灘中学・高校、東京大学経済学部卒業。大学在学中の2002年5月、当時の七大陸最高峰最年少登頂記録を更新。06年マッキンゼー入社。10年フィールド&マウンテンを設立。著書に『夢へのルートを逆算せよ!』。
(山川 徹=構成 小倉和徳=撮影)
【関連記事】
マッキンゼーに受かる人の履歴書
大企業とベンチャー、東大生が選ぶべきは?
なぜ起業家はみな「社会のため」と言うのか
コンサル経験を積めば経営者になれるのか?
<本より議論>専門家との2時間3本勝負 -DeNA創業者・取締役 南場智子氏