「どう役立つか」を言葉にする
とはいえ、素直で学習意欲が高くて、察する力もあり、前向きな新人ばかりだったら苦労しません。OJT中に新人から「僕、今学習モードなので、実務はまだ無理です」「私、褒められて伸びるタイプなんです」などと言われて返答に窮したという、笑うに笑えない話も耳にします。
こんな新人の場合、どうすればいいのでしょうか。もちろん、一人ひとり事情は異なるので、やはり目の前の新人をよく見て突破口を探るしかありません。
ただ、一つ言えるのは、新人たちはそれぞれ大きな不安を抱えているということです。それは、成長、キャリアに対する不安かもしれないし、仕事に対する不安かもしれない。社内の人間関係に対する不安かもしれないし、それらが渾然一体となったものかもしれません。こうした不安があるために、「素直でなく、学習意欲がなく、察する力もなく、前向きになれない」可能性が高いのです。
まず、成長、キャリアに対する不安についてですが、今の若い世代は「会社が自分のキャリアを丸抱えしてくれるとは思っていない」というところに大きな特徴があります。
会社は潰れるかもしれないし、事業内容が変わるかもしれない。結局、自分のキャリアは自分で築いていかなくてはならない、という危機感がベースにあります。そのため、将来の見通しが立たない仕事に対する不安を上の世代よりも強く持っています。
こうした不安を取り除くためには、「この仕事を通してどんなスキルが身につくか」「この仕事は何の役に立つのか」など、常に育成の見通しを言葉にしてあげる、ということが大切です。