学歴にこだわるのは「かわいそうな人」

筆者が取材をすると、林氏と対照的に思えるのは、会社員が昇格などで行き詰まり、学歴を語ることでコンプレックスを克服しようとする姿である。

弁護士や公認会計士、税理士など以外の、国家資格試験を経て独立をしている人にも学歴について語る人がいる。特に社会保険労務士に目立つ。

林氏は、少し笑いながら話す。

「その人たちは、学歴にアイデンティティーを求めざるを得ないのですね。今の実績をアピールすることができないのでしょう。そこにコンプレックスを感じているのだと思います。

この業界でも、“実は、東大を卒業しておりまして……”と話す人がいる。そのような人は得てして、コンサルタントとしての実績は低い。ある意味で、かわいそうな人ですよ……」

筆者が取材を通し、知る限りだが、この10年ほどで、東大を卒業したがコンサルタントとして一人前になることができずに、業界を離れたケースは10~15人になる。林氏はさらに分析する。

「学歴を披露しようとする人は、今の自分に価値がないと悟っている。等身大の自分を見せることが、怖い。だから、学歴を持ち出すのではないでしょうか」

ビジネスにおける需要と供給のバランスといった点からも指摘する。

「本質的な価値を提供しているならば、その人に需要はあるはず。ところが、彼らはそのような価値を持ち合わせていない」