金持ちネットワークに入れる人、入れない人
そうしたスーパーリッチの人たちの関心事の一つに子どもの教育がある。資産を代々守っていくためには、子どもにしっかり教養を身につけさせながら人間形成を行っていくのが、一見遠回りのように思えても、実は一番の近道なのだ。山田さんが続けて語る。
「貴重な情報を得られるのも良質なネットワークがあるから。そこに子どもを入れるためには、それなりのバックグラウンドが必要になります。そこで世界中のスーパーリッチたちがこぞって子どもを、フィリップス・アカデミー・アンドーヴァやフィリップス・エクスター・アカデミーなど米国の有名な寄宿制の学校に入れるのです」
長らく銀座の高級フランス料理店のオーナーシェフを務めていた岡田正彦さん(仮名)は、「財閥系のお客さま同士のお話を聞いていて、財界や政界など世の中の物事がこうやって決まっていくのかと驚かされることが何度もありました」と話す。そして、彼ら財閥系のお客に認められると、仲間に入れてもらえるそうなのだ。
お客さまから「今度パーティーを行うので」とお誘いを受けて行ってみると、一般人には縁遠い人たちばかりが集まっていた。「皆さんに紹介していただくと、『銀座でお店を開いているの。一度伺わせていただくね』といってもらえ、今度はそのお客さまが違う仲間の方を紹介してくださって、どんどんお客さまの輪が広がっていきました」。
そうしたパーティーに参加するのには、当然それなりの服が必要になる。岡田さんがあるお客に相談をすると、銀座の老舗のテーラーを紹介してくれた。何十万円もするオーダーメードは痛手だったが、そのテーラーのご主人がお客を紹介してくれ、すぐに元が取れた。どうやら本当のお金持ちのネットワークに入ると、自然とお金が回ってくるようになっているようだ。
そして、そんなおいしそうな“匂い”に誘われて近づいてくるのが成金たちで、岡田さんも何度か「紹介してほしい」といわれたことがある。もちろん、岡田さんはすべて断った。先方に迷惑をかけるのが火を見るよりも明らかで、自分の信用も傷つくからだ。