主役の座を渡す

メンバー募集時のWEBサイトに掲げたメッセージ。

NEET株式会社のメンバー募集の際、一番大きく打ち出したメッセージは、「救世主、求む。」でした。既存の社会の枠組みに違和感を覚え、はみ出しているニートたちだからこそ、いまの企業社会のあり方や働き方への問題意識も高いはず。NEET株式会社の設立を通して、「仕事のやり方や組織づくりについてヒントをください」とメッセージを送ったのです。

それを見たニートの若者のなかには、「救世主」という極端な表現に最初は半信半疑だった人も多かったようです。「はみ出し者だけれども日々違和感を覚えていて、それでも何かを変えたいと考えている俺たちの可能性を信じてくれているのかな」という期待半分。そしてもう半分は、「この若新ってヤツは怪しくて胡散臭い。俺らを取締役にすると言って持ちあげておきながら、本当は騙すつもりなんじゃないか」という懐疑心や不安。それでも僕は「みんなが主役じゃないと意味がない」と主張し続けました。少しずつそれが伝わったのか、「自分たちが取締役になれるなら」「本当に自分たちの会社にできるなら」と趣旨に賛同してくれた若者たちがたくさん残ってくれました。

同じように、女子高生たちにも、「これは本当に私たちのプロジェクトなんだ」と思ってほしかった。一つには「JK課」というネーミングです。「JK」という言葉をネガティブに捉える大人が多いのは承知ですが、彼女たちの世代にとっては、ものすごく身近で馴染みのある普通の言葉です。それだけのことにも大きなズレがあります。今回は、あえて彼女たちの立場や感覚を最優先にして「JK」という言葉を使い、「自分たちが主役だ」と感じてもらいたかったのです。それがうまく伝わったのか、プロジェクト開始前から、口コミでたくさんの女子高生が集まってくれました。彼女たちは、もし「女子高生まちづくり課」というような名称だったら参加しなかった、と口を揃えて言います。彼女たちは大人の目線や態度に敏感です。まずは彼女たちを信じ、徹底的にリスペクトすること、それがこのプロジェクトの成功の鍵を握っていると思います。

僕も含めて、大人たちには、自分よりも知識や経験の少ない人たちを悪気なく見下す傾向があると思います。「未熟なのだから、ちゃんと教えてうまく使ってあげないといけない」などと考えがちですが、「教える・教えられる」「使う・使われる」といった関係性に限界がきているのだと感じます。そうやって一方的に人の可能性を計り、うまく調整・管理していこうとするやり方が、いまの日本社会をイマイチにしているのではないかと。今回、鯖江市役所JK課を始めるにあたり、牧野百男・鯖江市長の言葉がとても印象的でした。「このプロジェクトをやることで、彼女たちが大人を変えてくれるかもしれない」。まずは一人ひとりの可能性を信じ、知識や経験、スキル、年齢などにかかわらず対等な関係を築き、徹底的に相手をリスペクトする。そこから「新しい何か」が生まれるのだと僕は信じています。