出世は見込めず、そもそも会社の将来もどうなるやら。これからを考えるだけで、気持ちが滅入ってしまう――。ベストセラー『考えない練習』で読者から圧倒的な支持を得た名僧が、あなたの日頃の迷いに対して、考え方の筋道をわかりやすく説く。

一人暮らしの親が倒れたら、子どもが介護せねばならず、それは確かに大変なことでしょうから、不安になってしまう気持ちはわかります。けれども、福祉のシステムが整っていなかった昔ならばいざ知らず、現代においては、子どもは必ずしも付きっきりで親の介護をしなくてはならないというものではありません。

現代の「介護せねば」は、どちらかというと世間体を気にして、そう思うことが多いのではないでしょうか。周囲から「親の面倒をみないなんて、冷たい人だ」と思われたくないために、介護しようとする。そのような他人の目、世間体ゆえに行動することには、自分の評価を気にする「慢」の煩悩が働いています。

煩悩により「いい人」ぶって「偽善者」の仮面を被るのは、自分の心に害を及ぼすもの。自分の本心とは違う言動をすると、2つの矛盾した思考が無意識的に衝突し合います。これは多大なストレスの発生源となり、介護そのもののストレス以上に、心を苦しめてしまうのです。

(構成=岩原和子 撮影=若杉憲司)
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