女性活用のために管理職ができること

組織の利益のために、すべての部下の能力が開発され、活用されるようにするためには、まず、組織の中で誰が交渉を持ち出すかに注目し、意思決定をそれに応じて調整することだ。

女性の能力開発を本当に気にかけている管理職でさえ、誰がその仕事を要求しているかを主な基準にして仕事を分配すると、気づかないうちに女性を差別することになる。男性の部下が「この仕事をやらせてくれ」と言ってきたら、その男性がその仕事に一番適任なのか、それとも要求してこない女性のほうがその仕事をうまくやれるのかを、よく考える必要がある。そうすることで、男女格差を是正する方向に歩み出すことができる。

管理職はメンタリングを使ってもよいだろう。信頼する上司からの次のようなアドバイスに従うことで、多くの女性が急速に成長を遂げるのをわれわれは目にしてきた。

「職業生活に関することはすべて交渉可能だという前提に立とう」
 「関心のあるプロジェクトに志願しよう」
 「自分の仕事上の目標を積極的に追いかけよう」

隠れた能力開発の機会を教えてもらうことは、多くの女性が自分のキャリアを新しい視点からとらえるきっかけになる。女性部下が潜在能力をフルに活かすために何を必要としているのかを心得ていれば、上司もいい仕事ができる。

最後に、男女の同じ行動に対しての異なる対応が、どのように女性の前進を妨げ、組織に害をもたらすかについて、すべての社員の意識を高めることも大切だ。積極的に要求する男性は「やり手」とか「率直な人間」と評されるのに、女性が同じように行動したら「厚かましい」という烙印を押されるのはなぜなのか。組織の文化を、要求する女性に対してもっと優しいものにすることで、管理職は女性部下に、自分の前進のために交渉することは自分自身にとっても組織にとっても勝利の戦略になりうるということを教えられるのだ。

(リンダ・バブコック、サラ・ラシェーヴァー=文 ディプロマット=翻訳)