料理家 青山有紀さん

京都府出身。大学卒業後、美容業界を経て京おばんざい屋「青家」を中目黒にオープン。実家は京都で1日1組限定の料理屋を経営。母から受け継いだ京おばんざいと韓国家庭料理を提供するとともに、美容の知識を生かしたスイーツなども開発している。2010年に国立北京中医薬大学日本校を卒業し、国際中医薬膳師資格を取得。2011年4月には新店「青家のとなり」をオープンした。『まいにちの鍋』『毒だしベジ弁当』など著書多数。テレビ番組への出演や雑誌の連載などでも活躍している。


 

自分もお店をやっているので、予約をして外へご飯を食べに出かける機会はあまり多くないのですが、ここぞ、というときに、この2軒はよく利用させてもらっています。「カラペティ バトゥバ!」の佐藤了シェフの料理は大好き。外食に慣れている友達を連れていって、おいしい! と感動してくれると、私がつくったわけじゃないのに「だろう?」なんて鼻が高くなります。「花楽」の穴子鍋も素晴らしいんですよ。大好きな日本酒と一緒に楽しみます。

中目黒に「青家」をオープンして、9年目。おばんざいと韓国料理が中心のお店です。実家は京都で、祖父は韓国人なので、子供の頃から、食卓にはおばんざいと韓国料理が当たり前に並んでいました。

2010年に国際中医薬膳師の資格も取り、日々の料理にその考えを取り入れています。と言うと、なんだか難しく聞こえるかもしれませんが、そんなことはないんです。私がつくるのは、身近な食材を使った家庭の料理。薬膳には、いわゆる生薬を使って病を治すことを目的にした食療のほかに、もう一つ、食養という考え方があります。季節に合わせた旬の食材を使って、体の健康を維持するためのもの。七草粥とか、ひな祭りのはまぐりとか、そういうものにはちゃんと意味がある。そのときに、内臓で痛みやすいところを養生してくれる食材や料理というのは、薬膳の理念がもとになっています。

いろんな食養がありますが、みんな、何かしら食べてはいけない食材がありますよね。薬膳は、何も否定しないんです。食材すべてに効能と意味があって、季節や組み合わせを考えながら、どう食べるかが大事なので。何かに偏りすぎるのは、あまり好きではありません。卵もお肉も食べたいし、お菓子だって大好き。薬膳なら陰陽。食に限らず、世の中のすべてのことに表と裏がありますよね。だから人生のバランスがとれていると思うんです。

食の仕事って、とても夢とやりがいがあります。

縁あって、病院や老人ホームの食事を考えるお仕事もさせていただいているのですが、栄養バランスや塩分量など基本的なことを意識しながらも、やっぱり一番には、食べておいしい! と思ってもらえるものをつくりたい。つくる側は、今日も明日も同じようにつくるけれど、食べるほうにとっては、もしかしたら、これが最後のご飯かもしれない。そういうことをいつも頭に入れながら、つくらせてもらっています。

季節と栄養を考えたおいしいご飯を食べてもらうことが、一番元気になる秘訣じゃないかと私は思っています。食を届けるということは、元気を届ける仕事なんですよね。