一方、年間発電量は1KWあたり1000kWh程度なので、4kWのパネルをのせれば約4000kWhを発電できる。このうち4割を自家消費し、余剰の6割分を売電した場合に得られる利益は年間約9万円。11年目以降の買い取り価格は不明だが、現在の38円が続いたと仮定すると、17~18年で初期費用は回収できる計算になる。このほかに、深夜電力を利用したり、売電量を増やせれば、回収期間は早めることもでき、その後は発電した分だけ確実に利益につながっていく。

そのため、固定価格買い取り制度での電気代を金融商品に換算すると、4~9%の利回りになるという試算もある。

年々、増え続ける電力需要を賄うために、国は一般家庭の太陽光発電設置の誘導策を当面は続けるはずだが、普及が進めば、買い取り価格は現状よりも引き下げられる可能性も大いにある。現在の価格が適用されるのは3月31日までなので、設置を検討しているなら早く始めたほうがお得だ。

補助金制度もあり、現在、1kWあたり41万円以下の太陽光パネルは2万円、41万超~50万円までのパネルは1万5000円の補助金がつく。

もっとも、住まいの方角や日照条件によっては思い通りの回収ができない可能性もある。効率よく発電するためには、緯度と経度を計測して最も効率のよい設置位置を決めるなど、事前のシミュレーションをしっかりすることが大切だ。

さらに、家人の年齢や住宅の耐久性などにも考慮が必要だが、条件のいいうちに一考する価値はあるだろう。

(構成=早川幸子)
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