利益の伸びに表れるAI需要、金利、原油価格

次に、前年同期と比べた売上高・利益の増加額を見てみます。

【図表】売上高増加額ランキング 上位20社
銀行・保険は経常収益・保険収益等を使用。イオンとツルハは3~5月期。ツルハの増収にはウエルシアとの統合による連結範囲拡大が含まれます。
【図表】利益増加額ランキング 上位20社
営業利益・経常利益・税引前利益等の参考比較。採用指標は表内に記載。

今回の比較では、売上も利益も増加額が最も大きいのはキオクシアです。生成AI・データセンター向け需要を背景に、販売単価が上昇し、出荷量も記憶容量ベースで増加しています。特に販売単価は4~6月期で7割上昇しており、驚異的な成長の要因になっています。

売上増加額の上位にはツルハも入りますが、その増収にはウエルシアとの経営統合による連結範囲の拡大が含まれます。売上が増えていても、既存事業が同じだけ成長したとは限らないのですね。

銀行の利益の伸びも顕著です。金利上昇による融資の利ざやの改善が、増益の重要な要因です。みずほFGの公表資料によると、みずほ銀行の国内業務部門の預貸金利回差(金融機関が受け取る貸出金利回りから、預金者に支払う預金利回りを差し引いた差)は、前年同期の1.04%から1.27%へ拡大しています。手数料収入や市場取引の改善も増益に寄与しています。今後も金利上昇が予想されることから、この流れは続く可能性が高いと思われます。

総合商社では、資源・エネルギー価格の上昇が売上増加に寄与し、豊田通商ではメモリ関連も寄与しています。

石油・エネルギーでは、原油・製品価格の上昇や在庫評価が寄与しています。ただ、中東情勢も依然混迷しており、今後の原油価格次第では、現在の利益水準を維持できるかどうか不透明です。

また、日本製鉄の増益には、前年の事業再編損2316億円がなくなった反動が含まれます。ARCHIONの利益も、経営統合に伴う負ののれん発生益2332億円に押し上げられています。増益額が大きくても、そのすべてが通常の収益力の改善を示すわけではありません。

同じ外部環境の変化でも、企業によって影響は逆になります。金利上昇は前述したように銀行の利ざや改善につながる一方、借入金の多い企業には利払いの増加要因です。原油高も、石油関連企業の利益を押し上げる場合がある一方、燃料を使う企業には負担となります。法人企業統計では、2026年4~6月期の運輸業・郵便業は営業利益が2.9%減りました。