これまでは乳酸菌が腸管の周りのリンパ球に快い刺激を与えることで、NK細胞が活性化されることがわかっていた。そこで昨年秋、奥村教授はインフルエンザワクチン接種をした順天堂大学医学部の男子学生を対象に1073R-1入りの飲料と、入っていない飲料を飲ませてインフルエンザに対する抗体を調べたところ、1073R-1入りの飲料を飲んだ学生の免疫反応が圧倒的にいいことがわかった。
奥村教授も「軍隊細胞に効果があるとは予想していなかった」と驚いたほど。昨年10月下旬に記者を集めたセミナーでこの研究結果を発表した際、教授は「明治の株が上がるから、みなさん記事を書く前に買っておくといいですよ」と冗談を言ったそうだ。教授の予想はずばり的中したのである。
ただし機能性ヨーグルトは薬ではないため、毎日の食習慣として長く食べ続けることで免疫力が高まる。そして、この「薬ではない」という点がメーカーにとっては隔靴掻痒なのだ。
薬事法により、メーカーは「この商品はインフルエンザに効きます」「これはノロに効きます」「これはメタボに効きます」とうたうことができない。そのためキャッチコピーには各社の苦労がにじみ出ている。明治の「R-1」は「強さひきだす乳酸菌」、森永乳業の「ラクトフェリンヨーグルト」は「カラダの中からもっと強く」、雪印メグミルクの「恵 megumi」は「一歩進んだリスクケア」である。
メーカーは、各商品に使用されている乳酸菌などがどれだけ高い効能を持っているかをアピールする以外に、宣伝の方法がないのだ。どうすればもっと消費者に届くのか。それが今後の課題だろう。
ただ現在はこのような状況だが、昨年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」では健康補助食品の機能性表示について規制緩和する方向が示された。これに機能性ヨーグルトが含まれ、各社がはっきり商品の機能を打ち出す表示を行えるようになれば、ヨーグルト市場は一段と拡大するに違いない。