内部監査が突きつけた「重大な欠陥」
DBはこれをどう受け止めたのか。
今年6月26日、DBはエヴェリン・パラCEOが自ら命じた内部監査の結果の要旨を公表した。報告書本体は公開していない。監査は、シュトゥットガルト21の計画立案、統制、リスク管理に「重大な欠陥」があると指摘し、2026年末の開業は現実的ではないとした。
「率直に言えば、私は内部監査の結果に衝撃を受けている」とパラ氏は語る。
監査が挙げた原因は、デジタル化が想定よりはるかに複雑だったこと、計画が詰め切れていなかったことに加え、2013年の技術棟が現在の要件に合わなくなったこと、電源供給規格の変更への対応が遅れ全面的な設計変更が必要になったことなど、多岐にわたる。
その代償として、約30億ユーロ(約5360億円)の追加費用が必要だと試算されている。総事業費は145億ユーロ(約2兆5900億円)に達する。2026年初めに当初見込みの4倍超とされた費用は、現時点で当初の6倍近くまで膨らんだことになる。
暴力で強制排除された市民たち
工事が始まった2010年には、計画はすでに批判の的となっていた。
同年9月、市中心部の宮殿庭園。広大な芝生や噴水が設けられ、総延長約4キロにわたるこの都会のオアシスを舞台に、大規模なデモが起きた。
計画で伐採される木を守ろうと座り込む市民を、警察は放水車や警棒で排除し、少なくとも116人が負傷したのだ。元技術者のディートリヒ・ワーグナーさんは、放水を顔面に受けて意識を失った。欧州ニュースメディアのローカルによれば、担当医は当時、視力が戻らない恐れがあると話していた。
半年後の州議会選挙では、計画に反対してきた緑の党が州政権を握った。だが、同年11月の州民投票では58.8%が建設続行を支持し、計画はそのまま進められることになった。
5年後、シュトゥットガルト行政裁判所はついに、暴力による強制排除は違法であったと判断した。ローカルは、これでワーグナーさんを含む原告7人に賠償金を受け取る道が開けたとしているが、シュトゥットガルト21の中止には至っていない。
市民が緑地空間の喪失に抵抗する一方、技術者たちも計画に首を傾げていた。
焦点となったのは15.143パーミル、すなわち、1メートル進むごとに15.143ミリ下がるホームの勾配だ。数字の上ではごくわずかな傾斜に見える。だが、約400メートルの地下ホーム全体を通じてこの差が続く。地下駅の南北に開いたトンネル出入り口同士で、線路及びホームの高さを比較すれば、そこには6メートル以上の高低差が存在する。

