原則の6倍超の勾配を当局が認可
ドイツの鉄道建設・運転規則は、新設する駅の線路の勾配を原則として2.5パーミル以下とするよう定めている。新駅の勾配はその6倍以上にあたる。
「世界中のどの鉄道でも、ホームの線路は水平に敷かれている。それは、事故と支障のない運行のための根本的な安全基準だからだ」。2001年までドイツ鉄道で高速輸送を計画していた土木技師のズヴェン・アンデルセン氏は2013年、独週刊紙のコンテクスト・ヴォッヘンツァイトゥングにそう指摘していた。
それでも監督官庁の連邦鉄道庁は2005年初め、この地下通過駅の建設を認可している。新中央駅では旅客の乗降のためにのみ停車する想定で、その際列車は常に制動されている(ブレーキがかかっている)、との立場だ。
同庁は、2013年に同紙の取材に対し、DBの路線網にはすでに2.5パーミルを超える勾配の駅が複数あるとも説明していた。
アンデルセン氏は、列車が常に制動されているという同庁の前提を、当局が人的ミスを初めから排除した誤った論法だとして、「人間は誤りを犯す」と反論する。現代の車両は優秀であるがゆえに、転がり抵抗が極めて小さい。運転士が誤ってブレーキを緩めれば、勾配のある地下駅では停まっていた列車がひとりでに動き出す。
実例がある。2012年、コルンヴェストハイムの貨物駅から逸走した貨車3両が7キロを走り、市内のフォイアーバッハ駅のホームを破壊した。この区間の平均勾配は3.9パーミル。新駅の勾配の4分の1でも、事故は起きていた。
審査役すら信じていなかった調査結果
勾配はまた、安全性に加え、時間あたり何本の列車をさばけるかという処理能力にも大きく影響する。
現在の頭端式(行き止まり式)の駅は、ホームに面した線路が16本ある。ところが、新駅では半分の8本に減る。このわずか8本の線路に、全国ダイヤ構想「ドイチュラント・タクト」の2030年を想定した目標ダイヤでは、旅客列車を毎時33本発着させ、夕方のピーク時には州が求める増発としてさらに10本前後を見込む。
英鉄道業界専門誌のインターナショナル・レイルウェイ・ジャーナルによれば、長距離列車の停車時間は2~5分しか取られていない、余裕のない計画だ。運行に遅れが生じた場合、通常であれば応急処置として、1本の線路に2本を縦列で停めることもできる。ところが新駅では、急勾配のため車両が動き出しかねず、安全上認められない恐れがあるという。しかも連邦政府の議会答弁によれば、目標ダイヤはピーク時1時間に約11回、1本の線路に2列車を縦列で停めることを前提にしている。
推進派は、2011年の負荷テストを根拠に挙げる。朝のピーク1時間に到着する列車を、DBが2010年の調停で頭端駅の限界と説明した37本から49本に増やしても、運行品質は「経済的に最適」な水準を保てるという結果だった。一方、元デルフト工科大教授のインゴ・ハンセン氏は2017年の論文で、「実務経験と比べて、あまりに楽観的すぎる」と記した。
前提の停車時間2分は、ハンセン氏がデュッセルドルフ中央駅の長距離列車ホームでピーク時に実測した平均を下回ると、コンテクスト・ヴォッヘンツァイトゥングに語る。批判派は、新駅の処理能力を毎時32~35本程度とみている。ピーク時の計画を10本前後下回る水準だ。
負荷テストの結果には、審査した側からも疑義が出ている。2011年にテストを審査したスイスのコンサルティング会社SMAの当時の代表、ヴェルナー・シュトーラー氏は、映画製作者クラウス・ギーティンガー氏の取材に、自分も当時から容量計算を信じていなかったと語った。SWRが2026年9月14日に報じた。DBは、事業パートナー全員が負荷テストを認めたと反論している。

