文系から医学部受験を目指す娘に届いた
『やるぞノート』
娘はもともとコツコツ努力するタイプです。今は大学受験のためにがんばっています。以前から助産師になりたいという希望があったのですが、自然分娩の現場に立ち会い、産婦人科医になりたいと強く思うようになりました。
ただ、娘は文系コースに在籍しており、高校の先生からも「医学部受験は無理」と言われました。その時、娘が涙目になったことが忘れられません。しかし、みたっちゃんは「医学部に合格した姿が見える」と娘を励ましてくれました。娘もあきらめずに、医学部合格を目指しています。ときどき「失敗して、みたっちゃんの期待を裏切ることになったら、どうしよう」と心配しながらですが。
美達さんは気の持ち方や勉強方法などを手紙で送ってくれました。ところが、施設では手紙は「便箋7枚まで」と制約があります。月に出せる回数も制限されています。そこで、普段の手紙で書いてくれたことの総集編というべきものに、さらに増補した形で、『やるぞノート』というB4判30枚の冊子を作って、送ってくれたのです。この『やるぞノート』は、「なぜ勉強をするのか?」という項目から始まっています。
「勉強を好きだーっ」と言う人は少ないでしょう。でも、「やるしかない! 学生の仕事は勉強だ!」と思ってください。勉強という一つの行為、取り組みを通して、自分を鍛えるということを考えましょう。学生から大人になっても、全て(人生の全ての時間)が己の好きなことばかり、楽なことばかりということはありません。「いやだなー」「やりたくないな」、こんなことに、平然と取り組める、続けられるようになる精神力を養うのが、目的だと思ってください。もし、自分の希望や夢(いくつになっても持てるのです)に対して、へこたれず、愚痴らず、とにかくやり続ける精神力を手に入れたら、人生なんて自分の思うようになります。「とにかく、続ける」。これは最高の財産です。
私はこれを読んで、ハッとしました。今の世の中、勉強するのは、いい学校に入るため、いい会社に入るため、そう思っている人が多いのではないでしょうか。これでは、子供の本当のモチベーションにはなりません。いい学校、いい会社に入ったら、努力することをやめてしまうでしょう。美達さんの言うとおり「亀の歩みでも、休まず、サボらず、楽をしようと思わず取り組む習慣を身につけること」が、子供たちのこれからの人生に大切だと思いました。
この『やるぞノート』を、お母さん仲間や学校の先生に見せたところ、「素晴らしい」「こんなことを教えてもらいたかった」「うちの子供にも読ませたい」などの声をいただきました。もちろん、無期懲役囚が書いたということで、二の足を踏む人もいます。私は、それを残念に思いますが、世間から見れば当たり前のことでしょう。
ただ、私は、美達さんが子供たちに教えてくれたことを世の中の人に知ってもらいたいと考えました。実際に、自分の子供が前向きに人生を歩み始めたからです。美達さんと娘、息子との文通には、この『やるぞノート』のエッセンスがつまっています。文通をまとめた『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』によって、読者の方々や皆様のお子さんたちが、やる気を持って日々を送られるようになれれば、とてもうれしく思います。
※本稿は、『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』(美達大和、山村サヤカ・ヒロキ著)に収録されているプロローグ(はじめに)です。