休みの日には一緒に外の世界を探検
自分はどんな少年時代を過ごしただろうか――。
当時の記憶を思い起こしながら、僕は今、2人の子供と接するようにしています。
昼間は、森の中でカブトムシやクワガタ、チョウなどを捕り、夜になったら、星を飽きもせず眺める。それが僕の幼少時の遊びでした。地元は自然豊かな青森。空気が澄み、季節を問わず、空は満天の星でした。
小学校中学年のころ、親が望遠鏡を買ってくれてからは、ますます星という存在に夢中になって、「いったい、どんな場所なのだろう? 何がいるんだろう?」と想像をふくらませていました。特に、あのチカチカとする、またたき。今では空気のチリやゆらぎによるものだと知っていますが、あのころは本気で「星に何者かがいて、われわれ地球に向けて、光の明滅でシグナルを送っているんだ」と信じ切っていました。そんな空想世界にワクワクした体験が、今の僕のベースになっているのだと感じます。
そんな僕が子供たちに望むのは、ただ1つ、身の回りの自然や科学に広く関心・興味を持ってほしいということ。そのために、休みの日には一緒に外の世界を探検し、リアルなものに触れるようにしています。
近くの公園に行けば、ドングリを拾ったり、いろんな木の形を観察したり。そのとき、僕があえてしないようにしているのは、自分の知識をあれこれ「解説しない」ことです。
例えば、子供たちが公園でモコモコとした土の盛り上がりを発見したとき、彼らは「これ、モグラの穴だよ」と大騒ぎ。僕は単に土が隆起したものと判断しましたが、子供にはむげに「モグラじゃないよ」と否定せずに、「面白いものを発見したね、本当にモグラか掘って確かめてみれば」と伝えました。