親と子が、ゼロベースで興味のあるものを見て、そこに不思議な現象を1つでも2つでも発見できれば、きっと子供の好奇心は持続するはず。そうすれば、ある現象の仕組みや因果関係を論理的に説明する力も徐々に備わると思うのです。
そうした実地検証重視の理数的なプロセスは、子供の思考回路に思わぬ変化をもたらすかもしれません。
長男は幼稚園の年中のときに、数に強い関心を抱きました。1から順に数え、10になり、100になる。ふと長男は言いました。「100になったら次はどうなるの?」
このときは、10進法の仕組みをごく簡単に説明してやりました。数字が大きくなり位が増えるときには規則性があるんだよ、と。すると長男は納得したのか、ますます面白がって、さらに数字を読み進める。そしてまたあるとき、彼は言いました。「数字ってどこまで続くの?」
ひょっとすると、それは無限に続く世界だと彼自身もうすうす感じ取っているようでした。僕は、そうした小さな関心を持てたことを、「いいところに気付いたね」と少しオーバーに褒めてやりました。
そうすることで、彼の思考の延長線上にいずれ「宇宙の果てには何があるのか」「時間や空間とは何か」といった根源的な問いも浮上するのではないかと思っています。
(遠藤素子=撮影)