読めば読むほど、具体例や細部に惑わされる
「うちの子は本をあまり読まないから、国語の読解問題が苦手なんです」
そう考えているとしたら、大間違いです。読書と国語の読解問題は、まったく次元が異なるもの。読書は感情移入をしたり、行間を読んだりして「熟読」するものですが、国語の読解問題では、問題文に「書いていないこと」は問われません。いかに感情を抜き、思い込みにとらわれずに読むかが重要なのです。
とくに論説文や説明文では、「できるだけ文章を読まないこと」がポイントです。読むのは、最初の段落と最後の段落だけ。それも各段落の最初と最後の1文だけでOKです。
1つの文章の中に、筆者が言いたいことは1つしかありません。また、1つの段落では、1つのことしか言っていない。
ほとんどの文章では、最初の段落でその文章のテーマが提示され、最後の段落に結論が書かれています。だから、最初と最後の段落、それも最初と最後の1文だけ読めば筆者の言いたいことは、ほぼわかってしまう。この「テーマ ― 結論」という軸をはじめに頭に入れておけば、読解問題は簡単に解くことができます。
ところが、多くの子供たちは、テーマと結論の間の段落に惑わされてしまいます。間の段落で展開されるのは、結論を導くための具体例を用いた説明です。子供は具体的なことのほうが理解しやすいので、そこに迷い込んで、筆者が言いたいことがわからなくなってしまうのです。
もちろん、間の段落もまったく関係がない文章ではありません。どのように「軸」と関連しているのかを考えながら、各段落の最初と最後の1文を読んでいきます。
軸をぶらさずに読む1つのポイントは、文章中の「対比」を見つけることです。論説文・説明文は「説得の文章」です。Aが良いのかBが良いのか。Aの良さをBと比べて述べることで、読者を説得しようとするわけです。そして、「対比」を見つけたら、筆者はAとBのどちらの立場なのか、つまり「結論」を頭に入れて読むわけです。