子供が大好きな玩具であるブロックが、能力開発につながるという話を聞いたことはないだろうか。有名なのは、レゴ(R)だ。東大生や算数オリンピックのメダリストに子供時代に夢中だったものを尋ねると、レゴと答える人は少なくない。
アメリカのマサチューセッツ工科大学名誉教授で数学者のシーモア・パパート氏は、「子供がレゴで遊びながら何かを夢中でつくりあげる過程で学んだことは、誰かに教えられたことよりも深く浸透する」と、教材としての価値を評価する。そんなレゴを使った教育を行っているのが「レゴスクール」だ。
月謝は9975~1万4910円。これに毎年ワークブック代5250円、教材費が1万4700円以上かかる(学年により月謝と教材費が異なる)。「レゴをするのに教室にまで通う必要があるのか?」と思う方もいるだろう。実は私もそう思った1人だが、見学したところその練られた授業内容に、家庭で行うのは難しいと感じた。
「カリキュラムは子供の発達に合わせて組まれています。3歳児のクラスは身の回りの人や物に興味を向ける『マイ・ワールド』、4歳児は社会環境に興味を広げる『マイ・ワールド・ディスカバリー』、5歳児は現実社会だけでなく空想の世界にもイマジネーションを広げる『マイ・ワールド・アドベンチャー』といった具合に、徐々に興味関心の幅を広げています」(レゴスクール・ヘッドインストラクターの間野寛美氏)
カリキュラムはデンマーク発だが、レッスンは日本語で行われる。そして毎回、好奇心や創造力を刺激するトピックが設けられている。見学をした日は、4歳児のクラスでは、レゴを食材に見立てて、皿に盛り付けていた。ままごとをしながら、食品分類法に基づく栄養バランスのいい食事を学ぶ。5歳児のクラスでは、架空の「虹の島」を想像し、皆で作品をつくりあげる課題をしていた。途中で、湖に見立てたカップに2色の絵の具を入れて、黄色と青を混ぜると緑になるという混色の実験も行っていた。ブロックに他の素材を組み合わせるとさらに発展した活動にもなる。