ウケがいい高校時代の過ごし方
一般的に「正解のない入試」といわれるAO・推薦入試。素人目には何を見られているのかわかりにくい。早慶両大学は、受験生にどんな資質を求めているのか。
お茶の水ゼミナールや全国の高校へのAO・推薦入試の指導にも当たっている藤岡慎二氏は、次のように語る。
「両大学で取りたい人材像は明確に違います。早稲田は“やってきたこと”重視で慶應は“やってきたことと、やりたいこと”両方を評価する点です」
こうした両大学の人材像の違いが、AO・推薦入試の必要書類、志望理由の評価の仕方に表れているという。
「早稲田は慶應に比べ、出願そのものが難しくなっています。その理由が、出願要件に高い“活動実績”や、評定、TOEFLといった“成績”を求めていること。これをクリアしていないと、出願自体ができません」
どの程度の活動実績が求められるのか、AO・推薦入試の高い合格実績を誇る早稲田塾の新城肇氏はこう語る。
「実績だけで言えば、部活動で全国ベスト4くらいがかなり有望な線です。このほかに小論文と評定平均が課されます」(新城氏)
一方の慶應はどのような人材を求めているのか。
「慶應では“これまでやってきたこと”と“今やっていること”と“これからやりたいこと”の一貫した説明を受験生に求めます。志望理由書も早稲田が800字なのに対し、慶應は2千字と多い。慶應は入学後のビジョンが書類、面接で厳密に問われます」(新城氏)
こうした違いは、両大学の教育理論の違いに基づいているのだという。「慶應は、目標が明確な学生は入学後に必要に応じて、基礎的な学習はできるようになっているので、現時点での学力以上に意欲とビジョンを重視します」(新城氏)
「早稲田の場合、多様な学生が集まって刺激し合う土壌がある。目標は入学後に学生自身が見つけてくれるだろうから、学力や部活動などの実績をじっくり問う形式です」(藤岡氏)
早稲田がやってきたことの成果を求めるのに対し、慶應はやってきたことと、入学後にやりたいことの連続性を求めるのが大きな違いといえそうだ。