「NISA貧乏」も稼ぐ力をドブに捨てている
「NISA貧乏」という言葉が流行っているらしい。生活費を切り詰め、遊びも趣味も我慢して、節約したお金をすべてNISAの積立投資に突っ込む。SNSでは「最短で生涯投資枠1800万円を埋めるのが正解」なんて言説が飛び交っている。
NISA貧乏の問題は2026年3月、国会でも取り上げられた。若者が生活を切り詰めてまで投資にお金を回している。それは問題ではないか、というわけだ。
わたしが問題だと思うのは、若者が節約していることではない。何にお金を使うかの優先順位だ。若いうちにしかできない旅行や遊び、人とのつき合いまで削って、そのお金をすべてNISAに回す。そこまでして金融投資を優先する必要はない。
20代の数万円は、株に入れるより、自分の経験や稼ぐ力に使ったほうが大きなリターンにつながる可能性がある。まずいのは、将来のためにお金を貯めることではなく、将来につながるはずの経験まで捨てていることである。
短期間で人生が変わるほどの利益は出せない
そもそもその積立投資でいくら増えるのか。計算してみればいい。20代が捻出できる積立額は、がんばっても月3万円程度だろう。これを10年続けて、年5%で運用できたとする。元本360万円に対して、増えるのは100万円ほどだ。
10年間、飲み会を断り、旅行を我慢し、話題の店にも行かず、手に入るのが100万円。年に直せば10万円。我慢の対価としてはあまりに安い。しかもこれは、10年間相場が崩れなかった場合の皮算用である。
株や投資信託のように、お金がお金を生む元手を「金融資本」と呼ぶ。金融資本には単純な限界がある。元手が小さければ、増える金額も小さい。年5%で運用できたとしても、100万円から増えるのは1年で5万円程度だ。20代が毎月数万円を積み立てたところで、短期間に人生が変わるほどのお金にはならない。

