変わる日本の「安定と成功」モデル

資産設計アドバイザー 内藤 忍氏

あるいは、子どもを私立に通わせることもよく考えるべきです。なんとなく子どもは私立に、と願う親は多いですが、日本の学歴ピラミッドは崩壊しています。

東大から大企業に進んだところで企業そのものが潰れてしまうこともある。東京電力、パナソニック、ソニー、公務員など、かつての「安定と成功の象徴」は揺らいでいます。日本の私立学校をエスカレーター式に進ませても、これからの世の中で価値ある人材に育つとは限らないのです。同じ費用をかけるなら海外留学も含め、多様な選択肢を考えるほうが現実的です。

持ち家か賃貸かという質問も相変わらず多いですが、これは、損得ではなく個人の嗜好の問題です。損得でいえば、賃貸のほうが得です。しかし、所有欲を満たす満足感やQOL(生活の質)は持ち家のほうが高い。ちなみに私は持ち家派です。

マイホームには、自分の好みに改築できる自由度、友人に自慢できる優越感(笑)があります。それらが持ち家の価値です。しかし、転勤が多かったり、自由に住むところを決めたい人には持ち家を購入するメリットはありません。また、ローンや価格下落のリスクもあります。ライフスタイルを考え、自分の価値観から判断すべきことです。

次に資産運用の配分ですが、私自身は「外貨4割、国内外の株が4割、それ以外の不動産(自宅を除く)やコモディティが2割」を目標に実践しています。外貨資産と株式資産の比率が高いほど資産全体のリスクは高くなります。

例えば、1000万円の資産がある人で、仮に800万円まで目減りしても耐えられるといった人、あるいは年収が高い若いビジネスパーソンなら、この程度のリスクをとっても問題はありません。