とはいえ、単純に「守る」だけでは縮小均衡に陥るおそれがある。小林氏によれば、たとえば創業130年の事業家であれば、次のような考えを持つという。

「室町時代から続いている企業もあるなかで、われわれはまだ130年。その間に関東大震災や第二次大戦が起き、幸いにもそれを乗り越えることができたが、同様の大変動は将来にもありうる。祖業を守ると同時に、どう変わっていくべきかを常に意識しなくてはならない」

半分は守り、半分は変えていこうという哲学だ。保守的なだけでは時代の流れに乗り切れない。そこまで意識しているから何世代にもわたって繁栄するのである。

船井総合研究所 経営コンサルタント 
小林昇太郎

立教大学大学院修了(経営学修士)。2009年、船井総研内に富裕層ビジネス研究会を設立。国内だけでなく東南アジア、香港、中東などからの入会も多く、そこからいくつもの新事業を立ち上げている。著書に『ビリオネアビジネスの極意』。
同志社大学 経済学部教授 
橘木俊詔

1943年生まれ。73年米国ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。仏米英独で研究職、教育職を、日銀、郵政省などの各研究所で研究職を歴任。京都大学教授を経て現職。共著に『日本のお金持ち研究』『新・日本のお金持ち研究』がある。
ルート・アンド・パートナーズ 代表取締役 
増渕達也

1992年、東京大学卒業後、電通に入社。2000年退社。02年セブンシーズ・アンド・カンパニーを設立。06年ルート・アンド・パートナーズを設立。富裕層のマーケティングを手がけ、7000人以上の富裕層に会ってきた。
(永井 浩、浮田輝雄=撮影)
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