小さい銀行ほど金利でがんばる理由

現在の国内銀行業界では、メガバンクからネット銀行までを巻き込んだ、預金金利の引き上げ競争が始まった。その背景の一つに、経済全体のお金の需要が増えていることがある。

金利が上昇すると、銀行が保有する国債などの債券価格は下落する。2024年末時点で、地方銀行全体が抱えた含み損(主に国内債券)は約2兆円だった。それ以降の債券価格の下落で含み損は拡大したとみられる。今年7月、北海道の稚内信用金庫が信金中央金庫に資金支援を要請した。相対的に事業規模の小さい銀行を中心に、高い金利を提示して預金を集め資金繰りの安定につなげようとする銀行は増えているようだ。

もう一つの要因は資金需要の増加だ。インフレの進行により、モノやサービスの値段は上昇する。企業が、事業を維持するため必要なお金は増える。設備投資に必要な資金量も増大する。

人手不足の深刻化により、大企業から中小の事業者まで省人化投資も必要だ。世界的なAI成長期待の高まりにより、半導体、半導体関連の部材、データセンターなどの投資も増加した。いずれも、資金需要を押し上げている。

土の上のコインが右肩上がりに育っているイメージ画像
写真=iStock.com/Galeanu Mihai
※写真はイメージです

ネット銀行から「年1.6%」も登場

日銀のデータによると、2024年3月の国内平均の普通預金金利の水準は0.002%だった。今年7月時点では0.255%だ。定期預金の金利の引き上げ幅はさらに大きい。2024年3月以降、預入金額が300万円未満/1カ月の預金金利は0.327%ポイント上昇して0.33%。300万円未満/10年だと0.574%ポイント上昇の0.741%だ。預金の金利を引き上げて、資金調達量を増やそうとする銀行は増加したことがわかる。

銀行のタイプ別に預金金利の引き上げ幅を見ると、ネット系の銀行の引き上げ幅は高い。店舗網を持たないコスト面での優位性に加え、主に法人顧客がメガバンクや大手地銀に比べ少ないことなどが影響しているようだ。

ネット系の中には、新規の口座開設者を対象に、年1.6%程度の特別金利を期間限定で付与するケースもある。この金利水準は、8月上旬時点の2年物普通国債の利回りより高かった。

実店舗のある地銀やメガバンクの場合、現状、平均すると0.3~0.4%程度の預金金利をつけていることが多い。信託銀行は、退職前後の人を対象に特別金利プランを提供するところもある。