ゼロ金利政策でも景気は回復しなかった
現在、わが国は、超金融緩和下の金利がない世界から、金利のある(プラスの)世界に戻っている。
1990年代初頭、わが国では資産バブルが崩壊した。その後、資産価格の急落と景気の低迷は鮮明化した。1997年には金融システム不安が発生し、デフレ経済に陥った。日本銀行は政策金利を引き下げ、景気の下支えを余儀なくされた。
1999年には、日銀はゼロ金利政策を導入したが、わが国の景気は思ったほど回復しなかった。2001年には、お金の供給量を金融政策の目標にする、いわゆる量的緩和を導入した。しかし、デフレ環境の脱却には至らなかった。リーマンショック、コロナショックなどを挟みわが国の消費者物価指数はゼロ近傍で推移した。
2013年4月に日本銀行は量的質的緩和、2016年1月にはマイナス金利政策を決定した。異次元緩和の拡充により、2019年秋、10年国債の流通利回りはマイナス0.30%近くまで低下した。20年国債の流通利回りは、0.03%程度まで低下した。2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除するまで、実に34年以上にわたり、わが国の預金金利は低位で推移した。
予想を上回るインフレ、金利も上昇
マイナス金利政策の解除後、2024年7月の金融政策決定会合で、日銀は0.25%程度に政策金利(無担保コールレート翌日物)を引き上げた。わが国は金利のある世界に戻り、預金の金利も徐々に上昇し始めた。その後、政府や日本銀行、大方の経済の専門家の予想を上回るペースで国内の物価は上昇した。
現在、わが国のインフレ率は、高市政策の影響などを除くとおおむね2%台後半だ。物価が上昇すると、金融政策の引き締め観測は高まる。高市政権の財源を欠いた財政政策による財政悪化懸念も高まった。
首相が円安を歓迎する姿勢を明確に示したと判断され、歴史的な円安と輸入物価の上昇につながり、これまた物価の押し上げと金利上昇要因になった。金利の上昇が鮮明となる中、国内の銀行勢も預金の金利を引き上げ始めた。
