交差点を基準にして方向を教えるルール
先に少し説明した通り、まず基準点を決めて、そこから東西南北どちらの方向に向かうか、というのが基本的な構造になっています。
たとえば先ほどの京都市役所の「寺町通御池上る」ですが、まず寺町通も御池もどちらも通りの名前であり、このように二つの通りが交差するところ、つまり交差点を基準点とするのが基本です(後述しますがあくまで「基本」です)。
そして、一番目の方が目的地が面している通りの名で、二番目の通りの名からは「通」を除くのが慣例となっています。次に進む方向ですが、「寺町通御池上る」の「上る」は北に向かうという意味になります。では南に向かう方は? はい、もちろん「下る」ですね。
この「上る」「下る」ですが、のぼる、くだるではなく、「あがる」「さがる」と読みます。カタカナの送り仮名で「上ル」「下ル」と書かれるのは古い表記ではありますが、いまだによく見られます。
では南北に対して、東西はどう表現するのかというと、シンプルに「東入る」「西入る」と書きます。ただし、ひがしはいる、にしはいる、ではなく「ひがしいる」「にしいる」と読みます。
縁起や通りやすさで変わる住所
たとえば河原町にある京都髙島屋の住所は「京都市下京区四条通河原町西入真町52」です。四条通沿い、河原町通との交差点(四条河原町交差点)から西に向かったところの真町52番地、ということです。
また、この例にあるように、送り仮名の「る」は除かれることもあり、また上ル下ル同様にカタカナで書かれることもあります。ここで気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、この理屈だと、A、B二つの通りの間にある同じ地点を「A東入ル」「B西入ル」のどちらでも表せてしまうことになります。
その場合どちらが正しいのでしょうか。やはりより近い交差点から指し示すべきでしょうか。これは実は「どちらでも可」が答えになります。
近い交差点から案内した方が遠回りにならず親切である一方で、より大きく有名な通りから案内した方が分かりやすい場合もあり、どちらを選ぶかは決める人次第なのです。
他にも、たとえばビジネスの場合は縁起を担いで「下ル」となる南向きの案内を避け、たとえ交差点からは遠くても「上ル」となる北向きの案内を選ぶこともあるようです。
また同じビジネスでもより利便性を重視して、タクシーなどでアクセスしやすいように、一方通行の道の場合はたとえ遠くとも一方通行の入り口側からの案内にする、といった工夫がされることもあります。


