「経営の安全性は、規模ではない」

富国生命保険 社長 
米山好映
(よねやま・よしてる)
1950年、山梨県生まれ。74年早稲田大学政治経済学部卒業、富国生命保険入社。98年総合企画室長、2002年取締役、05年常務、09年取締役常務執行役員。10年より現職。

1997年4月、バブル崩壊の打撃が深まるなか、中堅生命保険会社の日産生命が債務超過となり、破綻した。その後、準大手の証券会社、都市銀行、長期信用銀行へと、破綻は拡がる。「金融危機」の襲来だ。

「次は、あの会社か?」。金融、証券、保険を問わず噂が飛び交い、活字にまでなる。ひとたび危機説を流されれば、預金流出や投資の引き上げ、保険の解約が、巻き起こる。業界中堅ながら資産内容が優良だった富国生命であっても、そんな風評に襲われれば、どうなるか。かつてない危機感が、社内に広がる。

運用の責任者である総合企画室長として、風評防止策を考え抜く。まず、資産運用で「安心重視」の姿勢を鮮明にした。さらに、その内容を積極的に開示する。世間は「金融機関などは、不良債権を隠している」との疑念を抱いていた。そんななかで、いくら正直に公表しても、かえって風評を加速してしまう恐れもある。だから、銀行や生保には、積極開示に慎重論が多かった。