漢字の「二重構造」
漢字は数万字あるといわれますが、最初からそんなにたくさんの漢字が一度に作られたわけではありません。
たとえば「松」とか「桐」という漢字を考えてみるとわかりますが、最初から「松」や「桐」という文字が作られるわけはなく、「松」や「桐」が作られる前にはかならず《木》と《公》、そして《同》という漢字が単独で存在したはずです。
つまり漢字には、第一段階で作られた基礎的な漢字群と、第二段階としてそれらを組みあわせた漢字群という二重の構造があるのです。
この第一段階で作られた漢字は、それ以上分解できない構造をもっていて、そのうち動物を表す「馬」や「犬」、「鹿」などは、おそらく古代中国人の日常生活とかなり密接にかかわりをもっていた動物であり、それでこれらの動物の姿をそのまま描いた象形文字が作られました。
しかしすべての動物をそのまま象形文字にできるわけがありません。それで動物一般を表すケモノヘンと、動物の名を呼ぶ音を組みあわせて、「猿」や「狸」などの形声文字が作られたというわけです。
※王本興編著(2010)『甲骨文字典』北京工芸美術出版社


