ローマ数字も以前は「IIII」だった

なお漢字のみならず、古代エジプトのヒエログリフや古代のローマ数字でも4以下の数字に、線や点をその表す数量分直線的に並べるという方式を採用し、5以上の数字にそれとは異なる構成原理による方式を採用していました。特にローマ数字の4は漢字と同様に、歴史の途中で大きな書き換えを経ており、古くは数え上げ形式の「IIII」を用いていましたが、時代が下ると、異なる構成原理(減数法)の「IV」を用いるようになりました。

その他、古代インドのカローシュティー文字やブラーフミー文字は1から3に数え上げ形式によって構成された数字を採用し、4以上にそれとは異なる原理によって構成された数字を採用しています(※4)

※4 ジョルジュ・イフラー(松原秀一・彌永昌吉監修、彌永みち代・丸山正義・後平隆訳)『数字の歴史 人類は数をどのように数えてきたか』、平凡社、1988年

「ケモノヘン」が付く動物と付かない動物

馬や虎に「ケモノヘン」がつかないのはなぜですか
回答=阿辻哲次(漢字文化研究所所長)

「猫」や「猿」「狸」には《犭》(ケモノヘン)がついているのに、「馬」や「虎」にはついていません。

「馬」や「虎」「牛」という漢字は、ウマ・トラ・ウシという動物の姿全体(あるいはその一部)をかたどった象形文字であるのに対して、「猫」や「猿」「狸」などは動物を表す《犭》(ケモノヘン)と、発音を表す部分(「猫」なら《苗》、「猿」なら《袁》、「狸」なら《里》)でできています。

これらの漢字でヘンとなっている《犭》(ケモノヘン)は、「犬」がヘンになった時の形で、これを部首とする漢字は漢和辞典では4画の《犬》部に収められます。「犬」はイヌの姿をかたどった象形文字で(図表3)、イヌという意味を表しますが、他の文に対して意味を示す時には、イヌ以外の動物一般を意味することがよくあります。

【図表3】「犬」はイヌの姿をかたどった象形文字
出典=『漢字の大疑問

具体的には、「猪」や「狼」、「猊」(唐獅子)などは形がイヌに似ていますが、「猿」や「狸」「狐」はイヌとはかなり形がちがいますし、「獺」(カワウソ)はイヌと似ても似つかない形ですが、それでもこれをヘンとしています。《犭》(ケモノヘン)が「イヌヘン」ではなく「ケモノヘン」と呼ばれるのは、実はそのためなのです。