スマホもタイヤと同じ運命を辿る

自分のクルマがどこのメーカーのタイヤを装着しているか、答えられる人はいるだろうか。タイヤのCMは見ていても、自分のクルマのタイヤのブランド名を言える人はそうそういない。

今どきのタイヤは滅多にパンクしないし、スペアタイヤの装備義務もなくなったため、自分でパンク修理ができないドライバーがほとんどとなってしまった。

1年の走行距離が1万キロメートル程度なら、6年乗ればタイヤの寿命がくるため、車検で交換――ということで冬場にスノータイヤにでもはき替えるドライバー以外は、タイヤとの縁が極端に薄くなっている。

だからタイヤのブランドを突然問われてもわからない。皆、適当に答えるから、集計すると大体、マーケットシェア通りの結果になる。

年々進化を遂げるアップルのiPhoneは、スマホの存在を大きくした。(AFLO=写真)

前段が長くなったが、タイヤの話をしたいのではない。いずれスマホ(スマートフォン)もタイヤと同じような運命を辿るという話である。

「どこのスマホ使っているの?」と聞かれて、「?」と考えこんでしまう時代が早晩やってくる。

「私はドコモ」「ソフトバンク」というのは、ブランドではなく、キャリア名を答えているにすぎない。ドコモまでiPhoneを売るようになった今、キャリアの差は意味をなさなくなっている。

ハイスペックなカメラ機能やメモリー容量(クラウドの時代には不必要なのに!)などの付加価値でスマホのブランドを差別化できるのは、5万円のセグメントが売れる日本のような先進国だけだ。発展途上国で見られるような5000円のセグメントでは、ブランド間の競争はない。貧しい国に行けば、最低限の機能さえあればいいと、「どこのスマホだっけ?」の世界になっている。