所得税・住民税が跳ね上がる可能性がある
一見、メリットが大きいように見えるペアローン団信。しかし、相手にもしものことがあった場合、自分のローン残債もゼロになると同時に、その「免除された自分の残債額」が税制上、「一時所得」として課税対象になってしまうのです。つまり、所得税・住民税が跳ね上がる可能性が高く、ファイナンシャルプランナーの仲間たちが懸念した点は、まさにここでした。
では一体どれくらい税金が増えるのか試算してみましょう(※以下、本稿での試算はわかりやすくするため、大まかに示した一例です)。たとえばペアローン団信に入って夫婦それぞれが5000万円を借り入れ、双方のローン残債が3000万円の時点で夫が死亡したとします。その際、夫婦それぞれのローン残債はゼロになりますが、免除された妻のローン残債3000万円は一時所得としてカウントされます。妻の年収を1000万円として、以下の計算式にあてはめて一時所得額を試算してみます。
【一時所得の計算式】
一時所得の金額=(総収入-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円))×1/2
「総収入」は免除された妻のローン残債額である3000万円、「収入を得るために支出した金額」は、これまで支払ったペアローン団信の保険料の総額となります。35年ローン、変動金利1.2%(変動金利1%、ペアローン団信分の上乗せ金利0.2%)で金利が変動しなかったと仮定すると、住宅ローンの毎月の支払額は約14.6万円です。詳細の計算は省略しますが、この間の金利上乗せ分の総額は69万円です。すると、妻の一時所得は「(3000万円-69万円-50万円)×1/2=1440万円」となります。
残債額が大きいほど税金も高くなる
そして実際に所得税・住民税の対象となるのは給与所得と一時所得の合算になるため、年収1000万円の妻の場合、課税所得額は以下となります。
給与所得額=1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
一時所得額=1440万円
合計所得額=(805万円+1440万円)=2245万円
課税所得=合計所得額2245万円-62万円(基礎控除)-150万円(社会保険料控除)=2033万円
※基礎控除は令和8年の場合と仮定、社会保険料は給与年収の15%と仮定
所得税率は7段階ありますが、今回の場合は40%にあたるため、所得税は2033万円×40%-279万6000万円(控除額)=533万6000円。
住民税率は所得税率に関係なく一律10%。加えて均等割(5000円)が課されるため、住民税は2033万円×10%+5000円=203万8000円。
つまり、ペアローン団信で3000万円の残債がゼロになった妻は、737万4000円の税金の支払いが発生することになるのです。
今回の計算はあくまで目安ですが、残債額が大きいほど、税金の支払いが多くなることがおわかりいただけるかと思います。

