【田原】じゃあ、あらためてお聞きします。どうして渡邉さんは叩かれるの?
【渡邉】それは短期の問題でしょう。長い時間軸で、必ず挽回できます。
【吉崎】ワタミの売り上げには影響していないのですか。
【渡邉】じつは出ています。そんなに大きくはないですが、宴会でも、「あそこはブラックと言われているから、やめよう」というのはある。具体的に言うと、いままで和民はほかの居酒屋さんとは違う成長トレンドを描いていたのに、この6月ぐらいから、ほかの居酒屋さんと同じトレンドになってきました。ただ、これは焦っても仕方がない。先ほど言ったように短期の問題なので、いずれ時間が解決すると思っています。
【田原】渡邉さんはテレ東『カンブリア宮殿』で「たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうが、ぶっ倒れようが、無理やりにでも1週間やればそれは無理でも何でもなくなる」と言ったり、「週刊文春」で「365日24時間死ぬまで働け」という理念集を取りあげられた。趣旨はわかるけど、こういうことをあっちこっちで言うから叩かれるんじゃない?
【渡邉】違います。「365日」の件について言うならば、僕は社員に毎月ずっと手紙を書いていて、その手紙の中の一節なのです。トータルの手紙はその1行をベースに、「だからみんなで寄り添ってみんなで助け合っていこう」とか、「仕事というのはお金と時間をやり取りすることじゃない。生きざまなんだ」「休みはしっかり取りなさい。休みを取る中で自分を高めていくんですよ」という内容を書いています。それを1行だけ引っ張ってきて、一生懸命に僕を叩く。あまりにもおろかで、もう説明する気も起きないです。
【田原】渡邉さんと同じ考えの経営者はたくさんいるのに、なぜワタミばっかりやられるんだろうね。
【渡邉】僕は経営者時代も、いまの自民党でも、つねに正論しか言いません。それが気に入らない人がいるんじゃないですか。
*鼎談前半の「『おまえの仕事があってよかった。ありがとう』という『ありがとう』を集めるのが、僕の人生の目的なんです」という渡邉氏の発言。
※この記事は抜粋です。全文はPRESIDENT 2013年12.30号に掲載されています。
1959年、神奈川県生まれ。明治大学商学部卒業。84年、ワタミを創業。2013年、ワタミグループ会長を辞任。同年7月、参議院選挙に出馬し、当選。現在、自民党の国会議員として活動している。『夢に日付を!』ほか著書多数。
田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。活字と放送の両メディアで評論活動を続けている。『塀の上を走れ』『人を惹きつける新しいリーダーの条件』など著書多数。
吉崎達彦(よしざき・たつひこ)
双日総合研究所副所長