パワハラには該当しているか

厚生労働省「職場におけるハラスメント 対策パンフレット」によれば、パワハラが認定されるには、以下の3つの要素がある。

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる

① 優越的な関係を背景とした言動であって、
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの

であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

主にテレビ局のスタジオで行われる撮影現場を職場とし、基本的にはフリーランスである俳優に当てはめればということになるが、①「優越的な関係」という意味では、「夫婦別姓刑事」において佐藤と橋本はダブル主演だったので、基本的に立場は対等である。しかし、キャストの番手(番組表などの表示順)は佐藤が1番であり、橋本は2番。年齢は27歳開いている。

社会保険労務士の村井真子さんが書いた『職場問題ハラスメントのトリセツ』(アルク)によると、この条件は上司と部下など、はっきりした優越関係でなくても、該当するそうだ。

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの(言動)」は明らかに該当し、佐藤が橋本の楽屋に乗り込んで「あなたは役者をやるべきではない」と言ったなら完全アウトだ。『週刊文春』がそう報じただけでなく、そこに佐藤の事務所が寄せた回答でも、佐藤が直接、橋本に、「(接触しないことを強要し続けるなら)役者は続けるべきではないと僕個人は思いますという思いを伝えました」と認めている。

「役者を続けるべきではない」

Xなどでは「夫婦役なのに触るな、なんて橋本側がありえない」とバッシングする投稿もあるが、同作に限定して、夫婦の関係性を表現するためには、例えば手をつなぐ、ハグをするなどの演技が必要だからと相談するならともかく(橋本もそういった提案は受け入れるとしていたようだ)、このドラマ以外の作品においても役者をやるべきではないというのは、「業務上必要かつ相当な範囲を超え」ている。

例えば、一般企業で「あなたは会社員をやるべきではない」と言ったらどうなるだろうか。それは「退職すべきだ」「もう辞めろ」「どこの会社に行っても、やっていけないよ」と同義であり、数々のパワハラ認定されたケースでも、発せられてきた言葉だ。

その言葉によって「③労働者の就業環境が害される」となった。橋本の事務所によれば、体調を崩し撮影に参加できなかったこともあったという(『週刊文春』)。

こうしてみると、パワーハラスメントの「3要素」が揃っているように見える。

しかし、佐藤の事務所は「専門家に確認」し、「佐藤の言動がハラスメントにあたるものでない」と発表している。