しかし、こうした価格効果を通じた効率化は、過剰な規制のもとでは成立しえない。先進国の中でも規制が強いことで知られるEUのことであるから、価格効果を通じた効率化はあまり図られないかもしれない。できていたなら、EU自身が国際競争力の改善を課題になど掲げないだろう。こうした点、EUのチグハグさが浮き彫りになる。
小幅でも利上げが免れない情勢に
欧州のみならず、戦争の当事者である米国でもインフレ圧力が高まっている。米国は原油の純輸出国であり、本来はエネルギーを自給できるはずだが、先物を通じた価格の上昇圧力に晒されている。それに石油製品に関しても、海外での引き合いの強さから輸出が増えており、その連れ高というかたちで、価格の上昇を余儀なくされている。
米国は欧州より規制が緩和されているため、価格効果を通じた効率化が図られる余地が大きい。とはいえ、需要をある程度は抑制しないと、インフレが自己実現性を強めてしまうことになる。5月には新たにタカ派の論客であるケビン・ウォーシュ氏が連邦準備制度理事会(FRB)の議長に就任、市場では米国の利上げ観測も高まっている。
イラン情勢が落ち着き、原油価格が安定化しても、石油製品の供給のひっ迫が緩和しない以上、インフレ圧力は鎮まらない。そもそも本当にイラン情勢が落ち着くかもよく分からない。インフレが自己実現性を強める前に、その芽を摘もうと各国中銀が動くのは当然といえる。情勢を見極めながら、各国中銀は慎重ながらも利上げに踏み込む。
日本の方が欧州よりも中東への石油製品依存度が高いのだから、原油価格が安定化しても、石油製品の価格は落ち着かない。多角化もまた長期の時間を要するのだから、インフレの加速を抑制するためにも、追加利上げは必要である。コストプッシュだからと躊躇し続けると、インフレは自己実現性を強め、国民の生活をさらに苦しくする。
(寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)


