コレステロール値は気にするな

そして、セロトニンをたくさんつくるのにもっとも適した食べ物が「肉」にほかなりません。

セロトニンの材料となるのは、トリプトファンという必須アミノ酸。それが脳内で5-ヒドロキシトリプトファンという前駆物質を経て、セロトニンに変換されます。そのトリプトファンが、牛肉、豚肉、鶏肉などに豊富に含まれているのです。

セロトニンを作るトリプトファン(必須アミノ酸)を多く含む食材
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しかも、肉の脂身などに多く含まれているある物質には、脳にセロトニンを運ぶ働きを持つとされています。その物質とは何か。じつは、「コレステロール」がその役割を担っていると考えられているのです。

コレステロールといえば、「生活習慣病の元凶」のように思っている人が多いでしょう。

しかし、これは決して毒みたいなものではありません。コレステロールは細胞膜の主原料ですから、これがなければ身体はつくれない。そして私たちは、生きる上で必要不可欠なコレステロールの2割程度を食べ物から摂取し、残りの8割は肝臓でつくっています。

コレステロールは血液中に溶け込まないので、ホルモンのように血管を通じて運ぶことができません。肝臓でつくられたコレステロールは、「LDLコレステロール」という物質によって体のあちこちに運ばれます。

健康診断シート
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コレステロール=「悪玉」はいかがなものか

逆に、体のあちこちから回収したコレステロールを肝臓まで運ぶのが、「HDLコレステロール」。どちらも、健康診断のときなどに聞いたことのある人は少なくないでしょう。しばしば「悪玉コレステロール」と呼ばれるのが前者、「善玉コレステロール」と呼ばれるのが後者です。

たしかに、LDLコレステロールが増えすぎると、それが運び込んだコレステロールが血管壁に入り込んで動脈硬化の原因になるとされていますから、そうした面から見れば「悪玉」かもしれません。健康のためには、量的な管理は必要でしょう。

でも細胞の材料であるコレステロールを運ぶ役割を持っているのですから、人体に欠かせない物質であることも間違いありません。量が増えすぎることが問題なのですから、それ自体を「悪玉」呼ばわりするのも考えものです。

それに、LDLやHDLはたしかにコレステロールを運んでいますが、それ自体は輸送タンパク質であって、「コレステロールそのもの」ではありません。もちろん、体内の「コレステロールそのもの」が増えればそれを運ぶLDLも増えるのですが、食べ物から摂取した「コレステロールそのもの」は多くが吸収されずに排泄されますし、吸収されたコレステロールも肝臓が量を調節してくれます。

そういった研究が進んだことで、医学や栄養学の分野では、コレステロールについての考え方が大きく変わってきました。

以前は健康指導や栄養指導の場で、「コレステロールの摂りすぎは心臓病の元」「卵は一日一個まで」などといわれていたものです。でも、いまだにそんな指導をする人がいたとしたら、専門知識がアップデートできていないと思っていいでしょう。