企業物価が上がれば、消費者物価も上がる

物価は原材料の調達や素材の製造などの川上=卸売物価と、小売り現場などの川下=消費者物価に分かれる。原材料などの上昇に直面した企業は、収益率を維持するために価格転嫁を急ぐだろう。

企業間のモノの価格、企業間のサービス価格の上昇は、消費者物価に波及する。イラン戦争の発生後、わが国でも、包装資材のコスト増を販売価格に転嫁する企業は増えた。

過去、わが国の企業間物価と消費者物価の変化には、概ね6カ月程度の時間差=ラグが発生してきた。企業物価が上昇して6カ月程度経つと、消費者物価も上昇することが多かった。過去の経験則によると、早ければ夏場以降、消費者物価に追加的な上昇圧力がかかる可能性がある。

では、どの程度の押し上げ圧力が、わが国の消費者物価にかかるだろうか。2010年以降のデータで推計すると、企業物価指数が10%上昇した場合、半年後の消費者物価指数は1.7ポイント程度上昇した。

消費税5%→8%を上回る物価上昇予想

推計の際には、高市政権が実行した、電気・ガス料金、ガソリン価格高騰抑制の補助金政策の影響を除去する必要がある。日銀の推計によると、4月、ガソリン補助金などの影響を除去した消費者物価指数は同2.8%の上昇だった。わが国全体でみると、インフレ率は3%前後の水準で推移していると考えられる。

仮に、夏場に企業物価指数が10%程度上昇した場合、理論的に、年末ごろの消費者物価指数(政策の影響を除く)は4.5%程度に上昇することになるだろう。因みに、コロナショック後、わが国の消費者物価指数の上昇率のピークは4.3%(2023年1月)だった。

当時、コロナ禍対策として主要国が発動した財政支出が需要をかさ上げした。さらに、ウクライナ戦争も発生した。欧州ではパイプライン経由で調達していた天然ガスが不足した。ウクライナからの小麦や食料油の供給も減少した。

今なお、ウクライナ戦争は続いている。それに加えて、イラン戦争が発生したことで、世界的にモノやサービスの価格には一段と押し上げ圧力がかかっている。わが国の消費者物価指数が急上昇するリスクは高まっている。