人がどうしてもモノを買いたい衝動に駆られるのはどういうときだろうか。商品の魅力もさることながら「この人から買いたい」と思わせる力が大いにかかわってくるはずだ。そんなセールスの極意を、現場の最前線で働く辣腕営業2人に聞いてみた。
高級化粧品の購買意欲を押す手助けを
対企業ではなく、一般消費者を相手に販売を手がける場合はどうだろう。小田急百貨店で資生堂の最高級ブランドであるクレ・ド・ポーボーテのビューティーコンサルタント(BC)を務める土嶋昌代さんに話を聞いてみた。土嶋さんはこの道8年のベテランで、現在同社商品の中でも好調なこの高級ブランドの首都圏代表BCでもある。顧客は自分へのご褒美として買うキャリアウーマン、主婦などさまざま。以前は比較的年齢が高い層が多かったが、最近は20代の若い顧客も増えているという。
「最初から購入目的で店頭に来られる方と、クレ・ド・ポーがどういうものか、気になって寄られる方とがいらっしゃいます。後者のお客様に対しては、いきなり商品の特徴を語ったりはしません。まずはここまでいらしていただいたことへの感謝の気持ちを伝え、その後、生活スタイルなどを伺います」
普段は外で過ごすことが多いのか、日焼け止めをつけるのかなど、日常生活の中から肌に関する問題点を見つけて整理していく。そうすることで、今まで顧客自身が気づかなかった問題点が浮かび上がってくるという。
「お客様の気づきのお手伝いをすることを心がけています」と語る土嶋さん。こうすることで、ちょっと気になって店頭に立ち寄っただけだった顧客の心理にも変化が起こっていく。
「商品を手に取られたり、鏡をじっとご覧になったりといったアクションは購買につながるサインであることが多いので見逃さないようにしています」