「日本の構造的弱点」が露呈
これまで、海外メディアが注目してきた日本経済の最大の懸念点といえば、日本の歴史的な円安と国債利回りの上昇だった。
そこに、イラン戦争が加わった。原油高、ナフサ供給不安、輸入コスト上昇……。資源の海外依存が露わになることで、円安、国債、エネルギーが一本の線でつながった。
日本国債はこれまで、超低金利でも安定的に買われてきた。だが今、市場はより高い利回りを求め始めている。低金利を前提にした「日本の信用」の構図が、通用しにくくなっている。
もう1つ、円安もまた日本経済の深刻な問題となっている。エネルギーをはじめ多くの商品を輸入に頼る日本にとって、円安はそのまま生活コストの上昇を意味する。そこに原油高が加わり、家計を直撃している。
「積極財政」は簡単にはできない
ここまで円安が進んだ大きな要因は、超低金利を続けてきた日本と、高金利を維持するアメリカとの金利差だ。そこに原油高、輸入物価の上昇、財政不安が重なっている。
ロイターは「中東紛争による原油価格の急騰が輸入コストに加わり、円安によるインフレ圧力をさらに強めている」と報じた。別の記事では、「日本の財政への懸念も、さらに円を弱める可能性がある」と伝えている。
いま表面化しているのは、安倍政権以降の円安・低金利依存のツケでもある。
ウォール・ストリート・ジャーナルは2014年の時点で、アベノミクスについて既にこう報じていた。「円安で輸出企業が利益を上げ、その利益が賃上げに回るはずだったが、実際には、その循環は十分には起きず、円安の恩恵は家計に広く届かなかった」。
AP通信は高市氏を安倍元首相の政治的後継者と位置づけ、経済・防衛戦略を引き継ぐと見ている。つまり、高市政権がいま直面している制約は、突然生まれたものではない。安倍政権以降の円安・低金利依存の延長線上にあるものだ。
そんな状況下で、高市政権は国内向けに、減税や財政拡大を掲げている。
だが、そうした政策はそう簡単には実行できない。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、高市政権発足後の11月、大規模な経済刺激策が日本の財政状況を圧迫するとの懸念から、日本国債利回りが数年ぶりの高水準に達したと報じた。つまり、積極財政は国内向けには景気対策に見えても、市場には財政悪化と国債増発リスクとして映る。
財政拡大のためにこれ以上国債を発行すれば、政府債務が増えるだけではない。投資家はより高い利回りを求める。その結果、利回りの上昇を招く。それが財政不安をさらに強め、国際的な信頼も揺らぐ。
かといって日銀が利上げすれば、円相場は一時的に支えられても、住宅ローンや企業借入の返済、国債利払いを直撃する。
つまり高市政権は、財政を広げれば国債市場に警戒され、利上げすれば国内経済と財政が痛むという袋小路にいる。
その懸念は、国債市場で現実になりつつある。

