「ベッドや布団にいる時間」を意識する
だからこそ私が産業医として着目してきたのは、「床上時間」――ベッドや布団にいる時間です。眠れていたかどうかよりも、まず、ベッドにいた時間が何時間だったかを意識することが大切だと考えます。
床上時間と睡眠の関係は、以下の4パターンに分類できます。
1.床上時間が短くて、眠れていない
2.床上時間は短いが、眠れている
3.床上時間が長いが、眠れていない
4.床上時間が長く、眠れている
パターン1「床上時間が短くて、眠れていない」は最も危険な状態です。
週に半分以上「床上時間が短くて眠れていない」という自覚があるときは、医療機関を受診した方がいいと思います。受診する科の選び方については、眠れていない原因に不安、ストレス、悩みなどの心当たりがある場合は、精神科や心療内科を受診するのがいいでしょう。原因に心当たりがない場合は、睡眠外来や近所の内科がいいと思います。
内科の先生でも、いい先生であれば、睡眠薬の処方が2回目、3回目となった時点で、心療内科等への受診を促してくれるはずです。その際はちゃんと心療内科等を受診するようにしてください。
床上時間の最低ラインは「6時間」
パターン2「床上時間は短いが、眠れている」は、注意が必要なこともあります。例えば、「忙しくて毎晩2時に布団に入るけど、6時に起きるまで爆睡しています」という人は、今は大丈夫でしょう。しかし、ストレス等で少しでも寝付けなくなったり夜中に起きるようになると、すぐに睡眠時間が4時間未満となり、一気にメンタル不調のリスクゾーンに入ってしまいます。
私の経験上、床上時間の推奨ラインは“最低6時間”です。6時間の床上時間があれば、90分の睡眠サイクルが3〜4回とれます。寝付きにくい、夜中に起きるなどで1サイクル逃したとしても、最低2〜3サイクルの睡眠は確保できる計算になります。これが“メンタル不調を防ぐ最低ライン”です。
パターン2の人たちは、週に1~2回でいいので、なんとか6時間の床上時間を確保するようにしてください。そうすれば、4時間未満の睡眠が2週間連続、というクリティカルなレッドラインを超える確率は減ると思います。その結果、睡眠不足による心身の不調リスクはかなり減るはずです。

