激減した日本人スキーヤー

外国人スキーヤーは1日あたり平均で国内スキーヤーの3倍超の金額を消費しており、その経済的存在感は大きい。

スキーリゾート地としては、こうした海外客に依存する構図が広がる。国内スキーヤーが減少する一方だからだ。

CNBCは、ブーム全盛期の1993年に1860万人を数えた日本のスキー・スノーボード人口が、2023年にはわずか460万人にまで落ち込んだと分析。実にスキーファンの4人に3人がゲレンデを去った。

少子高齢化の影響で若い世代がゲレンデから遠のいたことに加え、気軽に訪れられるゲレンデ自体も減っている。1985年に1669カ所あったスキー場は、2021年時点で449カ所しか残っていない。

こうして今、スキー客の主軸は外国人へと移りつつある。そしてその訪問先は、特定のリゾートに極端に集中している。

CNBCが報じた決済大手ビザの分析によると、昨シーズンには海外スキー客のほぼ半数がニセコ一カ所に集まった。訪日外国人旅行者による消費額で見ても、冬のピーク時にはその過半数がニセコに集中している。

ビザによれば、中国本土の旅行者も積極的に日本のゲレンデを訪れているという。スキー旅行先として、一昨年まで首位だったアメリカに代わり、昨シーズンは日本が最も多くの旅行者に選ばれた。

白馬村が決断した「騒いだら罰金」の条例

旅行客の増加は経済面では日本全体にとって好ましいニュースではあるものの、その裏側で、地元はマナーや文化摩擦の問題に悩まされている。

急増する外国人観光客への対策として、長野県白馬村は罰金・罰則条項付きの「白馬村マナー条例(正式名称:美しい村と快適な生活環境を守る条例)」の制定に踏み切った。泥酔した外国人観光客の迷惑行為に住民が不満を募らせたのを機に、丸山俊郎村長が新たな罰則の導入を決めた。

白馬村マナー条例
出所=白馬村ホームページ「白馬村マナー条例

この動きはCNNなど海外でも伝えられている。対象は騒音の禁止や、深夜の花火の禁止など。8つの行為を対象に今年7月から、村の中止命令に従わない場合、5万円以下の罰金が適用される。

白馬村は10年前にも同種の禁止条例を設けている。だが罰則規定がなく、有名無実だった。今回は地元事業者から切実な陳情を受け、罰金付きの条例に踏み込んだ。

客離れを招くリスクはないのか。丸山氏は、「そういう方々が他の場所に移るのなら、それはそれで悪いことではない」と言い切る。

罰則を強化せざるを得ない背景に、客層の劇的な変化がある。

2025年に白馬を訪れたスキー客は、106万4000人。ピークだった1992年には278万5000人が訪れ、来訪者のほぼ全員が日本人だったと丸山村長は振り返る。スキー客の総数は30年余りで約4割にまで縮小した。

客が減った一方で、問題は増えた。日本人から外国人へと客層が入れ替わったことで、住民は生活習慣の違いからくる新たな摩擦に直面している。海外客全員のマナーが悪いというわけではないが、バケーションで訪れる性質上、ハメを外す衝動に駆られることもあるだろう。

海外客の急増に伴い、安全面にも問題が生じている。今シーズン、北海道のバックカントリー(スキー場の管理区域外の自然地形)で救助を要した人の80%以上が外国人スキーヤーだったことが、日本側当局の発表で明らかになっている。