減税は「ある意味当然の政策」

ここへきて消費税収は大きく増えているが、これは消費が好調なためではない。消費する量は変わらないのに価格が上昇しているため、消費者が負担する消費税額も増えているのだ。消費量が変わらないのに増えている消費税額の分を、減税に回して消費を喚起するのはある意味当然の政策と言える。

面白いところでは外食業界が食料品の消費税ゼロに反対していることだ。食料品の税率がゼロになった場合、外食の消費税10%との差が大きくなり、客離れが起きるというのだ。一見、正しい反対論のように思えるが、外食店が仕入れる食材も税率がゼロになるわけで、その分、価格を引き下げる余地が生まれるはずだ。

また、家計の消費税負担が減ることで、その浮いた分が外食などに回ることも十分に考えられる。減税分ちょっと贅沢という感覚が広がれば、景気にプラスに働くだろう。

そうなれば、外食店にとっても、仕入れ食材の税負担が減るのはメリットが大きいはずだ。それでも業界団体が反対の立場なのは、食料品をゼロにするなら、同じ「食」なのだから外食の税率もゼロにしてほしい、というのが本音だろう。

外食をする人たち
写真=iStock.com/primeimages
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政府・財務省の本音は「やりたくない」

4月21日に開かれた有識者会議では、給付付き税額控除の制度設計についての議論が行われた。給付付き税額控除は、所得に応じて所得税などから一定額を控除し、引き切れない分を現金で給付する制度。元々は旧民主党などが導入を求めていた政策だった。

具体的な実施方法として①企業が従業員の年末調整で税額控除した上で、公的機関が給付を行う②確定申告を受けた公的機関が減税と給付を行う③税額控除は行わず、所得に応じた給付のみを行う――という3通りの案が示されたという。

これに対して参加した有識者からは、「事務の煩雑化を招く」として、①や②の案に賛成する声はなく、③の給付のみに一本化するという案を支持する声が大半を占めたという。税金と給付を組み合わせると制度が複雑化して、こちらもシステム改修などに2、3年はかかるという見通しが政府から示されたという。

結局、消費税減税も、給付付き税額控除の導入も、政府・財務省はやりたくないということなのだろう。給付付き税額控除も要は減税の一環である。何としても税収を確保したいということなのかもしれないが、前述の通り、税金を増やすには経済活動を活発化させることが本来は王道である。物価上昇で国民の財布の紐が締まりつつある中で、どうやって国民の消費を減らさないようにするか。そのためにこそ消費減税という武器を使うタイミングだろう。

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