消費者まで「消費税減税」に反対
最近、テレビのワイドショーなどでは「消費減税反対」を公言する識者が数多く登場するようになった。「食料品の消費税率をゼロにしても家計の負担減は年間8万8000円にしかならない」「富裕層ほど恩恵が大きい」「財政が悪化して円安になれば、物価が上昇して逆に家計の負担が増える」「消費税率を下げても物価がそれだけ下がる保証はない」といった反対論だ。これに影響されてか、消費税減税はしない方がいい、とテレビカメラに向かって答える高齢女性なども出てくる。
こうした報道が、政府などによるコントロールなのかどうかは置くとして、消費減税に反対する声が消費者から出るというのも不思議な反応だ。
年間8万8000円にしかならないのでは、物価上昇対策にならない、という声が意外に多い。財政悪化がさらに物価上昇に火をつけるという解説にうなずく人も少なくない。だが、これは本当なのだろうか。
本当の意味は「消費喚起」と「経済対策」
高市首相は食料品を消費税率ゼロにすることが「物価高対策」あるいは「生活困窮者対策」だとしている。だから、消費税率引き下げよりも「給付付き税額控除」が好ましい、という話になる。消費減税も年間8万8000円で2年間の時限措置ならば、給付でもいいじゃないか、と有識者が語るのも、物価高対策という視点からだ。確かに困窮者対策ならば、対象の人に直接現金給付する方が即効性もあり効果が大きい。
だが、本来、消費税減税は物価高対策よりも、「消費喚起策」「経済対策」としての意味が大きい。コロナが蔓延する中で、先進国で消費減税に踏み切ったところが多かったのは、消費が凍りついて需要が一気に減ったことが大きな理由だった。消費が減って景気が悪化することを何とかして避けようとしたわけだ。
税率を下げると税収が減って社会保障財源に問題を生じる、という言い方もしばしばなされるが、税率を下げたから必ずしも税収が減るとは限らない。税率を下げた結果、消費が増えれば、消費税収は増えるのだ。
実際、日本は5%の税率を8%、10%と引き上げる過程で、消費が大きく落ち込んだ。逆に言えば、消費税率を引き下げれば、消費が盛り上がり税収が増える可能性もある。

