Q飛行機は最も安全な乗り物といわれる。実際に事故に遭う確率は、飛行時間約10時間の福岡-ホノルル間の飛行を14万3000回往復して1回という。つまり、1週間に1回往復したとしても2750年かかるわけだ。それなのに多くの人は、飛行機を使った出張が明日あるというときに飛行機事故のニュースを見聞きすると、搭乗するのをやめ、移動時間のかかる鉄道をわざわざ選んだりする。どうしてそうなってしまうのだろう。

行動経済学では、人が何らかの意思決定を行うときに使う確率に対する評価は、主観的評価によって修正されるものと考える。つまり、主観によって物事の発生確率を高く見積もったり、逆に低く見積もったりしている。だから、いくら安全な飛行機でも、目の前に事故のニュースを突きつけられると、「飛行機に乗るのはいやだな」という気持ちが働いて事故の発生確率を高く見積もり、搭乗をキャンセルしてしまうのだ。

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決定の重み付け

そうした行動経済学における「決定の重み付け」をグラフ化した。横軸に本来あるべき客観的な確率をとり、縦軸に決定の重み、つまり主観的な評価で修正された確率をとっている。おのおのの確率は0.1の間で示される。傾きが45度の直線が歪みのない合理的な重み付けなのだが、決定の重み付けは直線にはならず、曲がりくねったS字型の非線形モデルで表される。

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