保育だけでなく経営に関与する保護者たち
園の創設者である山並道枝は言う。
「熊本市では一時期70もの認可外保育園がありましたが、どこも保護者の協力なくしてはやっていけませんでした。そのため保護者会が結束して、様々なイベントを開催して園の財政を支えたり、人手が足りないところを補ったりしていました。園のために汗をかくことは、そのまま自分の子どもの成長に直結するという共通の認識があったのです。
うちの園では、そうした伝統が開園から半世紀経った今でもしっかりと残っていて、保護者が園の保育だけでなく、経営にまで関与してくれています。みんなで園を支えるというスタンスが受け継がれているのです。
ただ、こういう伝統が残っているのは珍しいかもしれませんね。今は、少子化によって認可外保育園が資金難に陥って閉園に追い込まれたり、認可園や認定園になって無償化することで経営が安定した代わりに、保護者との距離が離れてしまいましたから」
保護者会主催の多彩なイベント群
やまなみこども園の保護者会は毎年4月に会長以下の体制が決まり、主催する様々なイベントの実行委員会が結成される。
代表的なものであれば、夏祭りである「夕涼み会」や、出店が並ぶ「バザー」、それに日常的な保護者同士の物販「よかモン販売」などがある。
「よかモン」とは熊本弁で「良い物」を意味して、保護者の実家の農家で作られるオーガニック食品や、故郷の漁港から仕入れた干物など高品質のものを独自ルートで販売するのだ。これらの活動によって生まれた利益が園の運営費に充てられる仕組みになっている。
これに似た取り組みは他の園でも多かれ少なかれ行われている。だからといってこれほど保護者たちが主体的に参加するわけではない。
事実、やまなみこども園の特色を知らずに子どもを入れた保護者の多くは、「最初は園にかかわるのが面倒くさいと思っていた」「なんで他の親が園のことに熱心なのか理解できなかった」と異口同音に語る。

