さらに、原発事故は意外な方向へも波及する可能性がある。
「放射性物質の放出事故は日本の農業にとって大打撃だが、その一方で野菜工場が本格普及する可能性も出てきたともいえそうだ。最新の水処理技術やLED照明などを用いてクリーンなプラント内で野菜を育てるもので、肥料などを通じて化学メーカーにも収益機会が訪れるだろう。この業界では大がかりな再編機運も高まっており、その観点からすれば、系列メーカーを続々と吸収合併している三菱ケミカルが興味深い」(藤根氏)
他方、現時点ではまだ黎明期のベンチャー企業が5年後に大化けしている可能性も秘めているが、その候補として藤根氏が筆頭にあげるのは、ファブレスでエコ雑貨の企画・製造・販売を手がけているトランザクションだ。
「企業に販促用のノベルティグッズを提案しており、企画力と商品化までの早さ、海外生産による高い価格競争力が武器だ。しかも、中国をはじめとするアジアにも販路を拡大させる方針。企画力に秀でているといえば、ドウシシャも見逃せない。かつてはワインの並行輸入が収入源だったが、OEM生産による安い家電をディスカウントストアやスーパーに供給して好評だ。『5年程度で年商50億円以上見込めるなら何をやってもOK』という自由な社風が企画力の源泉となっている」(藤根氏)
TIW代表取締役
藤根靖晃
国内証券、米国企業情報会社、外資系証券でほぼ一貫して企業リサーチの職務に従事した後、2000年に独立系リサーチ会社のTIWを設立して代表取締役に就任。
藤根靖晃
国内証券、米国企業情報会社、外資系証券でほぼ一貫して企業リサーチの職務に従事した後、2000年に独立系リサーチ会社のTIWを設立して代表取締役に就任。
(相澤 正=撮影)