東日本大震災を予測していた人は皆無に近い。まさしく“一寸先は闇”だが、今回あえて専門家に日本経済の5年後(2011年当時)を予測してもらった。
国際金融コンサルタントの菅下清廣氏は、以前から、2011年が日本経済にとって節目となると予想していた。
「2009年5月に発表した『2011年まで待ちなさい!』(フォレスト出版)という著書の中で、11年が大きな転換点になると私は指摘した」(菅下氏)
悲観シナリオと楽観シナリオ、どちらに転ぶかで日本経済と株式市場の動向は大きく変わる。しかし、菅下氏によれば、そのどちらに転んでも有望といえる数少ない分野は、人々の心をつなぐ“絆”関連銘柄だ。
「東日本大震災で改めて痛感したのは、通信の重要性だろう。発生後しばらくは携帯電話がほとんどつながらなかったが、スマートフォンのユーザーはツイッターやフェイスブックなどを通じて盛んに情報交換を行っていた。また、速やかに復興作業が進められて大がかりなインフラ再編が実施されるだろうが、長引くのは大震災で傷ついた人々の心のケアだ。その意味でも、コミュニケーション・ネットワークの存在意義が改めて認識されるはず。悲観、楽観のいずれのシナリオに進もうとも、こうした分野が担う役割はいっそう高まる」(菅下氏)
では、5年後のコミュニケーション・ネットワークの世界をリードするのはどんな企業だろうか。
「筆頭にあげられるのは、ソフトバンク。そのほか、いち早く携帯電話向けのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を制したDeNA。ツイッターを運営するデジタルガレージや、動画配信のパイオニアであるドワンゴも大いに期待できる。一方、独自ノウハウのネット通販を展開して業績急拡大中なのがスタートトゥデイ。すでに現時点でも日本に新しい富をもたらしているが、5年後にはさらなる飛躍を遂げそうだ」(菅下氏)
国際金融コンサルタント
菅下清廣
大和証券、外国証券会社を経て仏系投資銀行の代表取締役を務めた後、1998年にスガシタファイナンシャルサービス代表取締役に。経済・株式評論で活躍。
菅下清廣
大和証券、外国証券会社を経て仏系投資銀行の代表取締役を務めた後、1998年にスガシタファイナンシャルサービス代表取締役に。経済・株式評論で活躍。
(相澤 正=撮影)