乳がんを100%見つける検査はない

高濃度乳房とは乳腺濃度が高い乳房のこと。乳房内の脂肪が少なく乳腺の比率が高いやせ型の人や若い人、日本人を含むアジア人に多いといわれている。

乳がんが見つかりにくく、乳がんになるリスクも高いと考えられており、近年、世界的に認識が広がっている。乳房には高濃度乳房と、乳腺濃度が10%未満の脂肪性乳房などがあり、世界で使われている定量的ソフトで測ると、日本人の約70〜80%は高濃度乳房と判定される。一方欧米人、たとえばノルウェー人の場合、高濃度乳房の割合は約28%にとどまる。

高濃度乳房の多い日本人女性にはマンモグラフィとエコーの「公正」な乳がん検診を!」がんサポート QLife

「高濃度乳房はマンモグラフィでは全体が白く写るので、同じように白く写るがんは“雪原で白ウサギを探す”ように見つけづらいのです。逆に脂肪性乳房等、高濃度乳房以外の乳房は、マンモグラフィによる乳がん発見が比較的容易です。

今のところ乳がんを100%見つけることはできる検査はありませんが、マンモグラフィでは約70%の乳がんを見つけることができると言われています。超音波検査では、乳腺の量にかかわらず乳がんを見つけることが可能であり、マンモグラフィと超音波検査併用の場合、約90%の乳がんを発見することができます。そのため日本人では超音波検査との併用あるいは交互に受けることをお勧めします」

東京女子医科大学の明石定子教授はそう説明する。

かつて会社勤めだった頃にはナオミさんも、超音波による乳がん検診を受けたことがあったが、独立起業してからは住民健診でのマンモ一辺倒。乳房を、タコせんべいみたいに押しつぶされることに驚いたものだった(が、実際薄くした方が被曝量も減り、画質も向上し、細かなところまで見やすくなるらしい)。

「日本人のおっぱいに、マンモグラフィは向いてないなんて……。超音波と併用したほうがいいなんて、聞いてないよ」

ナオミさんは唇をかみしめた。

米国では乳房タイプの告知が義務化

高濃度乳房の割合がそれだけ多いのなら、検診の際に自分の乳房タイプを告知し、マンモグラフィと超音波のどちらかを選べるようにしてもらえたら、「聞いてないよー」と困惑するケースを減らせるのではないだろうか。

実際アメリカでは、2024年から、マンモグラフィ受診者に高濃度乳房かそうでないかを通知することが義務づけられた。それも、単に濃度を伝えるだけでなく、「デンスブレストである」「デンスブレストではない」と区別した上で、その違いの重要性も明記。自分の状況や乳がんのリスクについて、かかりつけ医とよく話し合うようすすめる文言も加えることなった。

マンモグラフィー検査中
写真=iStock.com/praetorianphoto
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