「会社内では撮影しない」ことを徹底する
社内情報をSNSに投稿させないために、企業はどうすべきなのだろうか。
まず、社員に対しての啓発は必須だ。特に新入社員は「何が機密なのか」という判断が甘い。そこで、「会社内では撮影しない」ことを徹底して指導したい。PC画面や書類はもちろん、会議室のホワイトボードももちろんNGだ。
社員証を撮影すると複製される可能性があることや、オフィスの窓から風景を写すと会社名が特定され、他の投稿と合わせてビジネスの動きをライバル企業に推察されてしまうかもしれないリスクがあることも伝える。
若い世代はスマホのカメラをメモ代わりに使うケースもあるが、何かの折に写真が流出してしまうかもしれない。企業としては大きな損失となることを指導し、撮影した写真はすぐに消すなどのルールを決める。
また、「鍵垢を過信しない」ことも重要だ。今回の社内情報流出は、InstagramのストーリーズやBeRealが大元になっている。自分の知り合いに限定しているから安心だとは思わず、一度ネットに上げれば誰かがスクリーンショットを撮り、公開範囲の外に拡散させるものだと考えなければならない。人の手に渡ればそれは金のなる木として扱われてしまうのだ。
個人端末の業務利用は問題が起きやすい
こうした指導をする際に、社員のソーシャルメディアポリシーを規定しておくとよい。その際には、官公庁の啓発資料のように、どういう投稿がOKでこれはNGなど、事例を示すと周知しやすい。新入社員以外にも役立つものになるだろう。
また、研修の機会は入社時だけでなく、新たなサービスが出たときにも行うとよい。今回使われたBeRealは2022年頃から使われ始めたばかりで、ユーザーの8割以上がZ世代という、大人にはあまり認知されていないSNSだ。こうした新情報にも触れておくことで、新たな対策を講じることもできる。
他にも、個人スマホを職場で使わせない、撮影禁止エリアを設けるといった物理的なゾーニングも効果がある。SNSへの流出に限らず、BYOD(Bring Your Own Device:個人端末の業務利用)は問題が起きやすい。公私の境目が付きにくいため、仕事の写真と個人の写真がクラウドサービスで混在してしまうといったリスクも起きる。
使い慣れた個人スマホを業務でも利用したいという社員もいるとは思うが、安全を優先してデバイスの利用規定を策定しておくとよい。
また、万が一の場合、すぐ相談できる窓口も用意する。早い段階で対処できれば、企業としての損失を最小限に抑えられる。「上司に怒られるかも」と報告しない社員もいるかもしれないので、匿名やチャットで報告できる仕組みや直属の上司以外が対応するなど、自社に合った形で報告の流れを整えるとうまく機能する。
若者にとってのSNSは、上の世代が想像する以上に日常と地続きだ。その感覚の違いを前提に、リテラシー教育や社内規定の整備、円滑なコミュニケーションを柱とする組織作りを行うことがSNS時代の危機管理となるはずだ。


